2015年3月28日土曜日

Japanese Electric Foundation『Japanese Electric Foundation』

サザン関連、第2回は86年3月にリリースされました『Japanese Electric Foundation』です。そろそろリリースとなります『葡萄』のジャケットは岡田三郎助さんの「あやめの衣」をイメージしているそうですが、見れば見るほどどことなくTodd Rundgrenの香りもしてきますよね。

このアルバムはサザンメンバー野沢“毛ガニ”秀行さんのソロ作品ではあるものの、ビクター(インビテーション/タイシタ)ではなく東芝EMI(当時)の新興レーベルポップサイズからのリリース、さらには毛ガニさんのイメージであるパーカッション・コンガ・ラテンなどといったところからは距離のあるサウンドで、リリースから今に至るまで地味な扱いを余儀なくされている(サザンの公式サイトでもあっさりした説明があるだけです)、でもとっても素敵なアルバムです。


そもそもは80年代前半、順番にサザンのメンバーが自分名義のソロ作品をリリースしていく中、毛ガニさんは西麻布にある個人スタジオRunt Studioによく遊びに行っており、そんな中でアルバムの構想が生まれたようです。このスタジオの主は、荻窪ロフトの運営や錚々たるミュージシャンのマネジメントやディレクターを務めていた小川英則さんでした。毛ガニさんにとって小川さんはデビュー前のサザン、それ以前のマーブル・ヘッド・メッセンジャー在籍中から荻窪ロフトに出演していたこともあり、長きに渡る友人でした。小川さんはそれまでご自身が行っていた裏方的な立場ではなく、自ら表現したいという思いが強くなり、このスタジオを作ったようです。同じくロフト時代からの友人であり、第一期終盤ナイアガラなどの各種セッションや美乃家セントラル・ステイションなどにベーシストとして参加していた六川正彦さんをメンバーに迎え、85年2月に3人でRunt Studioにてデモの録音からスタート。そしてサザンの活動が一段落した85年10月、いよいよレコーディングが開始。上記3人以外にギターに六川さんと同じく美乃家セントラル・ステイションで活動していた土屋潔さん、ヴォーカルにH2O解散直後の中沢堅司さんを起用、さらに曲ごとにゲストを迎えるといったやり方でレコーディングされています。

プロジェクトの名前やコンセプトは英国の同じような名前のプロジェクトと似ていますが、こちらは基本的に中沢さんと小川さんのヴォーカルをメインに据えています。ストレートな往年の名曲というよりは、捻りの入った名曲達をJ.E.F.風に聴かせてくれます。この粋な選曲は、本作のディレクターにもクレジットされた小川さんのセンスでしょう。
アルバムのライナーは何と桑田佳祐さんが担当しています(実はレコーディングにも参加していた桑田さんですが、諸事情によりオールカットの憂き目にあい、代わりにライナーを担当することになったようです)。また、大瀧詠一さんの影響で変名好きだったという小川さんに “桜井鉄太郎”を命名したのも桑田さんでした。当時桑田さんが読んでいた漫画(「日本極道史」でしょうか)から取られているそうです。

本作の後、毛ガニさんとしては第2弾、第3弾の構想がすでにあったそうですが、パーカッション・プレイヤーの職業病ともいえるヘルニアで入院してしまい、J.E.F.自体活動休止となってしまいました。桜井さんはこの後ポップス狂の顔を持つ俳優高嶋政宏さんとReal Pop Organizersを結成(これはJ.E.F.の延長といったサウンドで、こちらの作品も名作です)。その後の活躍はご存知の通りです。ミュージシャン桜井鉄太郎を世に送り出したのは、他ならぬ毛ガニさんだった、とも言えます。



収録曲について簡単に…A-1「HEAR」は桜井さんヴォーカルの、J.E.F.オリジナル曲からスタート。A-2「OPEN MY EYES」はTodd Rundgren作。68年、Toddがソロ以前に在籍していたNuzz 1作目から。なにせ“Runt”Studioの主、桜井さんがTodd絡みの曲を選曲しないわけがありません。中沢さんと桜井さんのツイン・ヴォーカルです。このアルバムからシングルはリリースされませんでしたが、プロモ・シングルはこの曲と「LOVE AGENT」のカップリングでした。A-3「DON'T YOU CARE」はGary Beisbier、James William Guercio、Jimmy Holvay作。67年、The Buckinghamsのヒット曲です。リード・ヴォーカルは桜井さん。A-4「OPEN YOUR WINDOW」はHarry Nilsson作。69年の自身のアルバム『Harry』に収録されており、同年のElla Fitzgeraldや73年のFifth Dimensionのバージョンもありますね。リード・ヴォーカルは中沢さん。A-5「GREEN TAMBOURINE」はPaul Leka & Shelly Pinzコンビ作。67年、Lemon Pipersのシングルとしてリリースされた、全米1位の大ヒット曲です。リード・ヴォーカルは桜井さん。

B-1「LOVE AGENT」はA-1に続きJ.E.F.のオリジナル曲で、唯一の日本語詞です。リード・ヴォーカルは中沢さん。B-2「I CAN TELL WHEN CHRISTMAS IS NEAR」はSteveland Morris & Stevie Wonderコンビ(“&”というか“=”ですが)作のクリスマス・ソングで、70年のSmoky Robinson & The Miracles『The Season For Miracles』にStevie自身のプロデュースで入っています。サロン・ミュージックの竹中仁見さん・吉田仁さんによるツイン・ヴォーカル。B-3「IF I LOVE YOU」はThom Bell & Linda Creedコンビ作。70年にLittle Anthony & The ImperialsのシングルB面としてリリースされてますが、翌年Stylisticsのファースト・アルバムにてThom Bell自身の手でリメイクされており、今回はStylisticsバージョン寄りです。リード・ヴォーカルは中沢さん、コーラスでEPOさんが参加しています。B-4「RED CHAIR FADE AWAY」はRobin Gibb & Barry Gibbの兄弟コンビ作。67年、Bee Geesのサード・アルバム『Bee Gees’ 1st』収録曲で、リード・ヴォーカルは中沢さん。B-5、ラストは「TURN TO STONES」ということでRolling Stonesに捧げたJ.E.F.オリジナル曲で締めくくりとなります。リード・ヴォーカルには楠木勇有行さんと桑名晴子さんを迎えています。

2015年3月22日日曜日

Aretha Frankrin / Jackie Wilson / Love Machine「It Only Happens(When I Look At You)」[Ken Gold Songbook]

Ken Goldの作品を綴っていくシリーズ、今回は「It Only Happens(When I Look At You)」です。同じくイギリス出身のMicky Denneとの共作で、これ以降何年にも渡ってコンビで作曲が続く、最初期の作品と思われます。 

初出が誰のバージョンかはっきりしませんが、Aretha Frankrin7510月リリース『You』に収録(録音は6月〜9月)され、76年リリースのJackie WilsonNobody But You』(録音は756月〜9月)で前述の「You’re The Song」と共に取り上げられています。さらに75年にアメリカ録音であるにもかかわらずヨーロッパのみのリリースとなっていた謎のヴォーカル・グループLove Machine(78年には日本ビクター企画で本田 ”Hustle” 慧さんプロデュース・船山基紀さんアレンジでの録音もしている、LAのミスコンから選ばれたという不思議なグループですに「You’re The Song」と共にLPLove Machine』で取り上げられていますので、これは誰かに書き下ろしたというよりは、楽曲を出版社(Screen Gems Columbia)が売りに出したところ、ほぼ同時に大物含めて取り上げられたということなのでしょうか?(ただし、ArethaとLove Machineのバージョンには後述の通りどちらもGene Pageが関わっていそうですが…?

Jackie Wilson(アレンジはDavid Van De Pitte、プロデュースはCarl Davis & Sonny Sanders)とLove MachineLPにアレンジやプロデュースのクレジットがありませんが、同LPからのカットされた別の曲のシングルは両面ともGene Pageプロデュースの記載があります)のバージョンを聴くと両者は解釈が近い一方、ArethaのバージョンはBPMを落とし、西海岸の風を感じる爽やかで洗練された雰囲気の演奏と暑苦しいArethaのパフォーマンスを堪能できるテイクです。アレンジはGene Page、プロデュースはArethaJerry Wexlerによるものです。ArethaYou』は一度も公式にはCD化されておらず(数年前に話があったものの流れてしまったようです)、何とか公式な商品化をUniversalにはお願いしたいところであります(94年の英Expansionのコンピ『Soul Chasers - Volume 2』で「It Only Happens」のみCD化されています。板起こしではありますが…)。Nobody But You』は数回CDでリリースされており、iTunesでも当記事作成時点では発売中ですが、Love Machine』は全く再発の兆しがありません。

なお、Micky DenneGoldのデュオ作品『Denne And Gold』ライナーにはEugene Recordにも取り上げられたとの記載がありますが、これは前述の「Puttin’ It Down」と混同していると思われます。

さらに767月,Goldが長年にわたってプロデュースを務めることになるヴォーカル・グループRumoursのファースト・シングル「The Promise Of Love」のB面にも「It Only Happens」が収録されています。このバージョンも上記のうちではJackie WilsonLove Machineの解釈の延長といったところで、演奏もどちらかというと軽め、というかヴォーカル・グループなのにリードヴォーカルしか入っておらず、デモっぽい印象を受けます。このシングルは8月のセカンド・プレス以降、Rumoursの表記がDelegationに変更されることになります。








2015年3月15日日曜日

サザンオールスターズ『綺麗』

昨今もまだまだあれこれ話題の“国民的バンド”、サザンオールスターズ。そんなサザン関連作品の中でも、評価が世間的にいまいちとか、あまり触れられないけど個人的には思い入れのある作品を不定期でダラダラ語っていこうと思います。


今回は83年作『綺麗』です。その後のサザンや桑田さんを知ってる上でこれを聴いてもあまり見えてこないかもしれませんが、『熱い胸さわぎ』から『NUDE MAN』まで順を追って、いざこのアルバムを聴くとあからさまな路線変更に面食らうのではないでしょうか。そもそもは桑田さんやメンバーが既にそれまでのパターンというか、サザンに飽きてきたという危機感がきっかけだったようですが、サザン・ロックだジャズだ言ってたバンドがシンセ多用のニューウェーブ、ファンカラティーナの方向に向かってしまいました(曲単位では確かに前年に「走れ!!トーキョー・タウン」「NUDE MAN」とかあったんですけど)。もちろん従来のラテン歌謡やレゲエもの、三連の曲もありますが、どれも意図的に泥臭さを排除しています。バタ臭いラテン歌謡や直球のブルージーな三連ものは、93年まで10年間封印することとなります。

そしてどういう繋がりなのかわかりませんが(ジューシィ・フルーツ〜戸田誠司さんの流れでしょうか?)“湾岸系”の矢口博康さんの起用、またマニュアル演奏の電子楽器のみならず、リン・ドラムやオーバーハイムのDMX?といったドラム・マシンによる自動演奏の導入まで、とにかく新しいことづくめのアルバムでした。おそらく桑田さんの曲作りもあまりそれまでのわかりやすいパターンにならないように意識したのが災いしてか、今となっては“ピンとこない”扱いになっているような気もします。桑田さんの歌詞も、それまでと違い明確にストーリーやテーマを決めて、惚れたはれたのラブ・ソング以外のテーマで書かれているものが多くなっています。

A面からいきましょう。A-1「マチルダBABY」はシンセ・ベース(ライブでは原さんが弾いてますが、この録音はマイクロ・シンセを咬ませた関口さんによる演奏でしょう)から始まる、桑田さん曰くMen At Workを意識したという、でもちょっとファンカラティーナ調の一曲。矢口さんの多重サックスや、一瞬登場するシモンズなど、新境地に相応しいサウンドです。A-2「赤い炎の女」はラテン歌謡ですが前述のように洗練された雰囲気で、大森さんのガット・ギターがなかなか良い感じです。A-3「かしの樹の下で」は中華風メロディをシモンズにマイクロ・シンセにヴォコーダーに胡弓で固めるという、ニューウェーブならではなサウンドです。A-4「星降る夜のHARLOT」はレゲエですが、いつものような中南米直系ではなくイギリスのバンドあたりを経由したような感があります。A-5「ALLSTARS’ JUNGO」は2コードで関口さんのスラップが唸るファンキーな曲ですが、ドラムはおそらくリン・ドラムとシモンズと生ドラムを組み合わせているようで、なかなか凝っています。A-6「そんなヒロシに騙されて」は原さんヴォーカルのお遊び風ベンチャーズ歌謡で、間奏では男性ファンの熱い声援を入れたりしてますが、サウンドにストレンジさを出すためか、ドラムはそんなヒロシさんでなくマシンの演奏に聴こえます。A-7「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」もマシンのビートとエレピをフィーチャーした、三連なのに全くこれまでと調子の違う、桑田さんの歌も含め繊細な、AOR調の仕上がりになっています。

B面、B-1「YELLOW NEW YORKER」はこれまでもありましたBilly Joel路線。B-2「MICO」はまたまたニューウェーブ、エスノ風でシモンズ、マイクロ・シンセ、矢口さんのサックスなどがサウンドを彩っています。B-3「サラ・ジェーン」はAOR、当時で言うソフト&メロウ路線でこれも「女流詩人の哀歌」など既存のジャンルではありますが、この後もしばらく力が入れられていくことになります。桑田さん以外の5人の味のある演奏に新田一郎セクションのブラス隊、八木のぶおさんのハーモニカの組み合わせがたまらない、個人的にはこのLPのベスト・トラックです。どなたの趣味か存じませんが、フジパシフィック出版の非売品25周年コンピレーションにも収録されていました。B-4「南たいへいよ音頭」は関口さん作・ヴォーカル曲ですが、これもBlue Rondo a la TurkやCulture Clubあたりのファンカラティーナを意識した曲のようです。矢口さんがサックスで参加、マシンのリズムも使われています。B-6「EMANON」もソフト&メロウな、アーベインな一曲で、こんな曲をアルバムと同日に、しかもアルバムと同じデザインのジャケットでシングルリリースするという行為自体がかなり挑発的でした。そして最後はB-7「旅姿六人衆」、突如「Hey Jude」をアメリカン・ロック風に仕立てたような熱いバラードが登場し〆となります。



2015年3月14日土曜日

Al Southern「Puttin' It Down (To The Way I Feel About You Girl)」[Ken Gold Songbook]



Ken Goldの作品についてのシリーズ、第2回は「Puttin' It Down (To The Way I Feel About You Girl)」です。Ken Goldの単独作品で、初出はおそらく1975年9月、イギリスのシンガーAl Southernの唯一のシングルとしてリリースされたものと思われます。Al Southernは(Tony Rivers同様)もともとAssociation、5th Dimension、Beach Boysなどアメリカのハーモニーものに傾倒していたようで、メロウなソウル風であるこのPuttin' It Down」でもコーラスはAlの一人多重録音ということです。プロデュースがIan Stephenson、ストリングスはLew Warbutonとクレジットがあります。これ以降のバージョンと比べても、非常に癖の無い、曲の良さがよく出たバージョンです。Alはこの後本名のAlan Carvell名義だけでなく、Ron O'SheaのバックアップでCarvellsや数々の変名プロジェクトでハーモニー・ポップ〜ドゥワップ〜ディスコなどのミクスチャー・サウンドを繰り出すことになります。意図的かどうかは不明ですが、「You Are The Song」に続き、英国ハーモニー・ポップ畑にソウルのエッセンスを加えるというのがこの頃の作家Goldのコンセプトになっています。


Al Southernのシングルが出た翌月、10月にもイギリスのヴォーカル・グループRealisticsのシングルとしてリリースされました。Realisticsの方はMark Authurworreyプロデュースの記載があります。この75年当時はまだRealisticsとGoldは歌い手と作家としての関わりのみになりますが、Goldのプロデューサーとしても成功して以降の77年、RealisticsはGold作・プロデュースで数枚シングルをリリースすることになります。


さらに同年12月にはイギリスのみならず、アメリカからJackie Mooreがシングル・リリースします。女性バージョンということでタイトルが「Puttin' It Down To You」に変わりましたが、これだけ作者クレジットがK.Gold-M.Denneと、Micky Denneが連名で登場しています(特に男女が入れ替わっている以外、内容は変わっていないと思いますが…)。プロデュースはBrad Shapiro、MooreがAtlanticを離れた後、TK傘下のKayvetteと契約してからの第二弾でした。

77年2月には日本にて、ハイ・ファイ・セットがなんと日本語詞で「まぶしい貴方」としてカバーしています(アルバム『LOVE COLLECTION』収録)。アレンジは瀬尾一三さんによるものです。

そしてこの曲は何と言っても、Goldも敬愛していたと思われる、あのEugene Record 1977年2月リリースのファースト・ソロ『The Eugene Record』のB面、スロー4連発の3曲目として取り上げられたことを書かなければなりません。

前後のRecord作の曲と並ぶとメロディの志向がわかりやすいというか、ベタな感じがありますが、そこはGoldのセンスの現れとも言えるでしょう。アレンジはJames MackTOM TOM 84が担当、まさにシカゴの風が通り抜ける、風格に満ちた演奏を聞くことが出来ます。そして炸裂するRecordのファルセット、たまりません。このバージョンにのみ入っているイントロの下降するピアノのフレーズを聴いていると、思わず夜に翼広げて愛の階を昇りたくなってしまいます。

さらにほぼ同タイミング(1ヶ月後)にリリースされたJimmy HelmsのシングルではGold自身がプロデュースしています。ストリングス・アレンジとしてDelegation等でも起用されるLynton Naiffがクレジットされ、B面はMicky Denneとの共作「Uncertain」も収録されています(こちらは78年の『Denne And Gold』で作家チームにより再演されます)。Recordのバージョンと比べると多少軽めではありますが、エレキ・シタールが艶めかしいフィリー風の演奏と、何よりメロディの良さがありますのでこれはこれで好きなバージョンです。

翌年6月にはCilla Blackなんかも『Modern Priscilla』で取り上げていたり、とにかく、初期Ken Gold作品の中でも人気の名曲なのです。











2015年3月1日日曜日

大滝詠一『EACH TIME』のバージョン違い


当記事は、そもそも大瀧さん急逝の後、遺作となった『EACH TIME』の30周年盤を受けてまとめたバージョン違い集です(ぼーっとしてたら1年以上経ってしまいました…そうこうしているうちにまた『EACH TIME』が収録される『NIAGARA CD BOOK II』がリリースになりますね)。大瀧さんといえば、どれだけあるのかわからないミックス/バージョン違いが有名ですが、『EACH TIME』はアルバム単位としてもかなりのバージョン違いを生んでおりました。

また、90年代末にはナイアガラのファンサイトが盛り上がっておりました。私もそんなサイトを見て、ナイアガラの滝にどんどん溺れていった一人です(当時はまだ「オール・アバウト・ナイアガラ」も絶版でした)。いまではどこもすっかり閉鎖や更新停止となってしまいましたが、当時お世話になったいくつかのサイトに思いを馳せながら、バージョン違いをまとめてみました。

ここでは市販された音盤に限っています。なお、大瀧さんのバージョン違いは公式の記載もあまり信用ならなかったりするのですが、この記事もあくまで私の良くない耳で判別していることご容赦ください。


●夏のペーパーバック

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1989
EACH TIME 1991
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version B … イントロのベースはオミットされ、間奏のサックスが別テイク
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version C … Version Bと同じだが、最後の音の絞りがVersion Bより早い
Complete EACH TIME CD
B-EACH TIME L-ONG 1985
B-EACH TIME L-ONG 1989
B-EACH TIME L-ONG 1991
EACH TIME 2014
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version D … イントロはVersion Aと同じだが、間奏のサックスはVersion Bと同じもの
EACH TIME 2004
暑さのせい EP

Version D … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version E … Version Bのイントロ、Version Aのサックス、最後の音の絞りは早い「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Aのカラオケ
EACH TIME 2014


Bachelor Girl

Version A
B-EACH TIME L-ONG 1985
B-EACH TIME L-ONG 1991
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … フェイドアウトが早い
フィヨルドの少女/Bachelor Girl(Single)
Complete EACH TIME LP
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 1989
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
Best Always
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1989

Version D … Version Aの冒頭でカットされていた雷のSEも入ったフルサイズ「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Bのカラオケ
EACH TIME 2014


●木の葉のスケッチ

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1989
EACH TIME 1991
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … フェイドアウトせず終わり、クラリネットソロは3:52辺りからVersion Aと別テイク
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version C … フェイドアウトせず終わるがクラリネットソロはVersion Aと同じ
Complete EACH TIME CD

Version D … 最後のクラリネットソロはVersion Bと同じだが,イントロのクラリネットがアコーディオンに差し替え
SNOW TIME
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version E … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version F … イントロはVersion Dのアコーディオン、最後のクラリネットソロは未編集フルレングスで収録された「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Cとほぼ同一だが、4:08からクラリネットがVersion B・Dと同じものに差し代わっている
EACH TIME 2014


●魔法の瞳

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1991
EACH TIME 2014
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … 「ブルーの夜明けまで〜」のヴァースが追加
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 2004
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984 LP
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version D … Version Cのエディットされていないフル・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984 CD

Version E … Version B開始前にさらに冒頭4小節のカラオケ(ハープ)が入る「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Aのカラオケ
EACH TIME 2014


●銀色のジェット

Version A
EACH TIME 1984
B-EACH TIME L-ONG
Complete EACH TIME LP
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 1989
B-EACH TIME L-ONG 1989
EACH TIME 1991
B-EACH TIME L-ONG 1991
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … 最後のジェット音が大きい
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version D … ストリングスが大きく、ヴォーカルも一箇所カットされたミックス「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Aのカラオケ
EACH TIME 2014


1969年のドラッグレース

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1989
EACH TIME 1991
ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … 最後のギターが長く鳴る
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version C … 一部(「君が言うほど〜今ではよく知ってる」)ヴォーカルが異なり、4:37で演奏がカットアウトし、約10秒のリズムキープの音ののち演奏再開する「EACH TRIANGLE 2 Version
EACH TRIANGLE 2 in NIAGARA TRIANGLE Vol.2 VOX 2022

Version D … Version Cと同じ「3ばんVoちがい」ミックスだが、終盤の演奏カットアウトはない「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Bのカラオケ
EACH TIME 2014


●ガラス壜の中の船

Version A
EACH TIME 1984
complete EACH TIME LP
EACH TIME 1991
EACH TIME 2004
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version B … 最後のベースがフェイドアウトしない
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME CD
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015
EACH TIME 2014

Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version D … Version B冒頭に演奏前のドラムが入っている「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Bのカラオケ
EACH TIME 2014


●ペパーミント・ブルー

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 1989
B-EACH TIME L-ONG 1989
EACH TIME 1991
B-EACH TIME L-ONG 1991
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
Best Always
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version B … 終盤のハープの一番最後の音が弱い
EACH TIME Single Vox 1984
B-EACH TIME L-ONG
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version D … ストリングス・バージョンから始まり、フィルインから即歌が始まるプロモ盤用バージョン
NIAGARA RARITIES SPECIAL in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version E … Version B冒頭にVersion Dと同じストリングスイントロをクロスフェイドさせた「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Aのカラオケ
EACH TIME Single Vox
 1984
EACH TIME 2014
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015


●恋のナックルボール

Version A
EACH TIME 1984
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1989
EACH TIME 1991
EACH TIME 2004
EACH TIME 2014
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … SEが大きく、エンディングのSEも長く最後に大滝の一声が入る
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version C … Version Bと同一だが、最後の「バンドゥビバンバンバン」4回がカットされている
Complete EACH TIME CD

Version D … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version E … 未採用となった初期バージョン
EACH TIME 2004
NIAGARA RARITIES SPECIAL in NIAGARA CD BOOK II 2015
EACH TRIANGLE in NIAGARA TRIANGLE Vol.2 VOX 2022

NIAGARA TV SPECIAL VOL.1 in HAPPY ENDING

Version G … Version Bと同一だが、最後の「バンドゥビバンバンバン」2回部分をカラオケに編集した「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Aのカラオケ
EACH TIME 2014


●レイクサイド ストーリー

Version A
EACH TIME 1984
EACH TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … 4:54以降もリズム隊が先にフェイドアウトせず、5:25辺りからリズム隊がフェイドアウトし、そのまま全体もフェイドアウトする
EACH TIME Single Vox 1984
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version C … 4:54以降もリズム隊が先にフェイドアウトせず、5:10辺りからリズム隊がフェイドアウトし、そのまま全体もフェイドアウトする
Complete EACH TIME CD

Version D … リズム隊のフェイドアウトは無いが、長さはVersion Bとほぼ同じ
Complete EACH TIME LP
EACH TIME 1989
EACH TIME 1991
EACH TIME 2014

Version E … Version Aと同じフェイドアウトだが、その後エンディングのフェイドインが無くそのまま終わる
SNOW TIME
EACH TIME 2004
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version F … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 2 1984 LP
NIAGARA SONG BOOK 2 1989
NIAGARA SONG BOOK 2 1991
NIAGARA SONG BOOK 2 in NIAGARA CD BOOK II 2015
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version G … ストリングス・バージョン、エンディングがフェイドアウトしない
NIAGARA SONG BOOK 2 1984 CD

Version H … Version Aと構成は同じだが、フェイドアウト〜フェイドインの処理はされていない「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track … Version Hと同じく、Version Aと構成は同じだがフェイドアウト〜フェイドインの処理はされていない
EACH TIME 2014


●フィヨルドの少女

◆  Version A
フィヨルドの少女/Bachelor Girl(Single)
Complete EACH TIME LP
Complete EACH TIME CD
EACH TIME 1989
大瀧詠一 SONG BOOK  1991
SNOW TIME
EACH TIME 2004
大瀧詠一 SONG BOOK  2011
EACH TIME 2014
Best Always
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II 2015
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version B … 「FIORD 哀愁のフィヨルドの少女」ヴォーカルをギターに差し替えたバージョン
SNOW TIME
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II 2015

Version C … 「FIORD 哀愁のフィヨルドの少女」こちらもギター・バージョンだが、もともとプロモ盤12インチに収録されていた、Version Bとは別で見通しのよいミックス
Complete EACH TIME Single Vox in NIAGARA CD BOOK II
 2015

Version D … Version B・Cの構成に近いトラックに、Version B・Cのギターのメロディに近づけたヴォーカルをのせた「EACH TRIANGLE 2 Version」
EACH TRIANGLE 2 in NIAGARA TRIANGLE Vol.2 VOX 2022

Version E … Version Dに近いが、イントロはドラム・ベースが入っている別ミックス「40th Anniversary Version」
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition LP in EACH TIME VOX
EACH TIME 40th Anniversary Edition CD

Track… Version Aのカラオケ
EACH TIME 2014