2017年9月30日土曜日

ザ・ナンバーワン・バンド「茅ヶ崎は今日も黄色い」「プロレスを10倍楽しく見る方法/今でも豊登を愛しています」[桑田佳祐Songbook]


前年のファースト・アルバム『もも』とライブが好評で、ザ・ナンバーワン・バンドはセカンド・アルバムを製作することになります。前作と同じくプロデュースは佐藤輝夫さんと小林克也さん、基本のリズム・セクションも同じく成田昭彦さん・小室邦雄(琢磨仁)さん・深町栄さん・佐藤輝夫さんに、ライブの流れで当時アミューズ所属の斎藤誠さんが加わっています。相変わらず遊び心満載のアルバムで、これまた前作に続き、ゲストで鈴木慶一さんや白井良明さんも参加、そして嘉門雄三こと桑田さんが2曲に作編曲で携わっています。

「茅ヶ崎は今日も黄色い」はおなじみ内山田洋とクール・ファイブ(唄:前川清)の有名曲のパロディで、小林さんのみならず嘉門雄三もヴォーカルとして参加、二人のデュエットとなります。間奏や最後にアクセントをつけ、楽しいムード歌謡が繰り広げられます。

「プロレスを10倍楽しく見る方法/今でも豊登を愛しています」はシャッフルのブルース・ナンバーで、ダミ声ヴォーカルの小林さんの熱唱が聴けます。嘉門雄三の2曲のみ、村上秀一さん・美久月千晴さん・森村誠さん・幾見雅博さん・斎藤誠さんというセクションで、さらにはいずれも難波弘之さんをフィーチャーしています。この曲でも難波さんのハモンドが最高です。


さて、この『東京あたり』、LPと同時に出たカセットはジャケット違い・曲順別・また曲によってバージョンが違うもので収録されているという、いかにもいわゆるミュージック・カセットが一般的だった当時ならではな、お遊び仕様でリリースされました。「茅ヶ崎は今日も黄色い」は小林さんと嘉門雄三のヴォーカルパートが逆になったLPとは別ミックス、また続いて左にカラオケ、右に小林さんの歌唱指導が入ったカラオケ・ミックスの2バージョンが収録されています。本作は2015年に初CD化されましたが、よりによってカセット・バージョンでリリースされるという倒錯ぶりです。

また、「プロレスを10倍楽しく見る方法/今でも豊登を愛しています」は灰田勝彦さんのカバー「野球小僧」とのカップリングでシングル・リリースされています。「両A面」なので、片面に33回転で2曲突っ込み裏は収録無しという、これまた遊び心たっぷりの、でも有り難みのないシングルなのでした。

ナンバーワン・バンドはこの後も作品のリリースを続けるのですが、嘉門雄三による楽曲提供はここで一段落となります。ただし、85年の『はっぱすいすい』ではノンクレジットではあるものの、嘉門雄三なのか桑田さんなのか、声を聴くことができます。

(以下リンクもカセット用マスターです)