2021年12月11日土曜日

1986 (3) :Nippon No Rock Bandへの批判と反論

7月14日のアルバムリリース後、Kuwata Bandは全国ツアー「TDK AD Special Kuwata Band Rock Concert」を開始。7月21日の福井フェニックスプラザ(7月18日練馬文化センターという記録もある)から10月11日のNHKホールまで全50本(練馬文化センターを含むと51本)に渡るツアーであった。
その最中、「ミュージック・マガジン」誌のレビューがきっかけで、アルバム『Nippon No Rock Band』について、ひと悶着起きることとなる。


***


その詳細を見る前に、ここまで「ミュージック・マガジン」(旧「ニューミュージック・マガジン」)誌で桑田/サザンがどのように評されてきたか。本来であればそれぞれ評者の文章を読むべきとは思うのだが、字数の都合で今回はレビューでの獲得点数から雰囲気を見ていきたい。79年までは100点満点、80年以降は10点満点。

『熱い胸さわぎ』
90点(78年9月号 今月のレコード:北中正和)

『10ナンバーズ・からっと』
90点(79年5月号 今月のレコード:小倉エージ)

『タイニイ・バブルス』
9点(80年5月号 アルバム・レヴュー:天辰保文)
9点(同:北中正和)

『ステレオ太陽族』
9点(81年8月号 アルバム・レヴュー:天辰保文)
9点(同:北中正和)
9点(81年9月号 クロス・レヴュー:北中正和)
6点(同:酒井加奈子)
7点(同:湯川れい子)
8点(同:中村とうよう)

『嘉門雄三&Victor Wheels Live!』
7点(82年5月号 アルバム・レヴュー:天辰保文)

『Nude Man』
8点(82年9月号 クロス・レヴュー:今井智子)
6点(同:小嶋さちほ)
7点(同:佐藤響子)
10点(同:中村とうよう)
9点(同 アルバム・レヴュー:天辰保文)

『綺麗』
8点(83年8月号 クロス・レヴュー:小嶋さちほ)
9点(同:森脇美貴夫)
8点(同:鷲巣功)
10点(同:中村とうよう)
8点( アルバム・レヴュー:天辰保文)
9点(同:北中正和)

『人気者で行こう』
9点(84年8月号 アルバム・レヴュー:天辰保文)
8点(同:北中正和)
8点(84年9月号 クロス・レヴュー:小嶋さちほ)
8点(同:真保みゆき)
8点(同:森脇美貴夫)
9点(同:中村とうよう)

『kamakura』
9点(85年11月号 クロス・レヴュー:井上厚)
8点(同:高橋健太郎)
9点(同:鳥井賀句)
9点(同:中村とうよう)
8点(同 アルバム・レヴュー:真保みゆき)

といった感じで、総じて好意的な評価だ。特に『Nude Man』『綺麗』などは中村とうよう編集長をして10点満点の評価である。もともと編集長自ら、サザンのデビュー間もない頃に近田春夫に文章を依頼しており(78年10月号「サザン・オールスターズを中心に最近の音楽業界を見てみれば…」近田春夫)、デビュー当初からサザンに好意的な雑誌であったといえる。これ以外の点数のないアルバム評でもさほど悪いことは書かれておらず、また桑田本人のインタビューも79年、82年、85年に行われている。ここまでの桑田、サザンにとってはある意味親和的な雑誌であったといえよう。


***


さてそれを踏まえてKuwata Band『Nippon No Rock Band』についてはというと、まず86年9月号、巻末の「CDマガジン」(86年4月号より、CDのみの独立したコーナーが開始されていた)における「CDピックアップ」の藤田正によるアルバム評だ。

こりゃ、つまらないCD聞いちまったもんだ。チンケで平凡な歌詞に、普段英語を使ってないのがよくわかるベチョッと切れの悪い桑田のヴォーカル。これに妙に手馴れたバックが付くもんだから、正直僕はタマんなかった。やらない方がよかったですね、桑田さん。退廃寸前ですよ。
日本のロック世代は、大なり小なり欧米の若者文化に対してあこがれと劣等感を併せ持っているものだけど、桑田=サザンのエラいところは、そのコンプレックスと今晩のミソシルを、東京・神奈川の生活レベルでわけへだてなくミックスして、等身大で語ったところにあったと思う。桑田が本CDのように“英語のロック”をやりたい人だってのは誰でも知っているのだ。そのファンの眼を意識しながら、外見は新そうだけど、要は外国ロックの追随盤を作ったというのでは桑田ロックが泣くではないか。タイトルを逆説的に読んでしまうのはぼくだけだろうか。(藤田正)
(「ミュージック・マガジン 1986年9月号」ミュージック・マガジン、1986)

このレビューがきっかけで、サザンのA&R、ディレクターでおなじみビクターの高垣健(Kuwata BandのアルバムでもCo-Producerとクレジットされている)がコンタクトを取り、藤田を9月21日の京都会館のライブに招待、ライブ後にメンバーとの会談を設定。桑田の疲労からその場での桑田と藤田の対談には至らなかったが、その後高垣の語り下ろし「Kuwata Bandができるまで」、桑田の語り下ろし(9月30日に受領したという録音テープ)「ぼくはなぜ英語で歌ったか」を藤田の再度の意見とともに掲載したのが86年11月号の「Nippon No Rock Bandへの批判と反論」である。


高垣は『kamakura』以降の桑田周辺の活動からアルバム制作の背景までをA&Rの立場から説明している。このアルバム自体、サザンの文脈での様々な実験・トライの一環であることが語られている。
結果的に、先にシングルを聞いていた人にはとても面食らうアルバムになったんだけれども、次のサザン・オールスターズの活動再開にあたっての素材として、Kuwata Bandでの実験はすごく大きなものになるだろうと僕らは見ているんですよ。そりゃ日本語で歌う方がわかりやすいだろうし、セールスの面を考えても一番素直なんだけれども、逆に今はそういうことを考える時期じゃないなという判断もあるんですよ。
つまり、Kuwata Bandのいいところは冒険心がものすごくある、今の日本の状況に対する危機感をすごくもっている、このふたつがあるってことはすごいと思う。自分のやっていることに満足してないし、決して安定したいとか思っていなくて、そのへんのスリルと前向きな姿勢を持っているところは僕らにとっても刺激になりますね。
(「ミュージック・マガジン 1986年11月号」ミュージック・マガジン、1986)

桑田の語り下ろしでは、英語で歌ったことの意図についてが語られている。
とにかく、英語でやるってことが一番簡単に日本のロックであることを証明するためのチケットなのではないか、という気がしました。
(略)
日本語がいい、英語がいいってことを同じ日本人の間でごちゃごちゃやってるのはアレだけど、海外進出とか、そういうことはこれから不自然じゃなくなってくるっていう時代を想定して夢見ていくと、今日本語がいいか英語がいいかっていってたものが無意味になってしまう時代が来ると思うんです。
(略)
ですが、いずれは避けて通れないっていうのがあって、きっと、僕は、日本人でも韓国人でもベトナム人でも、ロックは英語で歌った方が多くの人間にとって聞きやすいはずだということ、多くの、“せいぜい30億の人間”に、これは乱暴な言い方だけど、とても聞きやすくシンプルな形にするという意味で英語でやってるんだという、そういう時代がくると思います。
(「ミュージック・マガジン 1986年11月号」ミュージック・マガジン、1986)

上記の意見とともに、藤田の再度の批評で記事は締まっているが、藤田のスタンスは変わらない。というより、論点がかみ合っていないというのが正しいか。桑田や高垣は制作の意図について語っているが、藤田はあくまで出てきた作品、演奏、歌について批評しているというところだ。
僕は日本人が英語の歌をうたっちゃいけないと言ってるのではない。うたいたいなら何をうたおうとかまわない。しかし、日本語と横文字言葉のゴチャまぜで、あれほど現代の都市のアウラを作り出せる人が、それを捨ててまで英語のノリに固執したのはなぜだろう。と、僕は最初にCDを聞いた時に考えたのである。
(略)
『kamakura』を名作たらしめたのは、サウンド作りが巧みになったなど様々な原因があるのだろうが、なんといっても圧倒的に桑田さんのヴォーカルなのだった。
ぼくは一部のキューバ人からはただのコピーだといわれているサルサが大好きな人間だから、形が似ているからといってそれだけで相手にしない人間ではない。サルサはサルサでしか味わえない貴重な味わいがあるのは間違いないし、サルサをキューバンではなくサルサたらしめてるのは、まず第一にプエルトリコ人シンガーがそのスタイルにたくした熱烈な思いのはずだ。
Kuwata Bandの「風に吹かれて」を聞いて、乗ったいい演奏だと納得しながら、でもコピーみたいだと思ってしまった理由は、桑田さんのヴォーカルにある。桑田さんは、そのCDのタイトルどおり、日本のロックをやろうとして新しくバンドを作ったわけだが、そこまでして、という理由、熱いものがぼくには感じられない。もちろん、何度も言うようだけど演奏レベルは高いし、ヴォーカルもビンビンと聞こえてくる。しかしそのヴォーカルをじっと聞いていると、ずんずん平坦になっていってしまうようにぼくには思えるのだ。
(「ミュージック・マガジン 1986年11月号」ミュージック・マガジン、1986)

一方、同誌では、86年9月号のアルバム・レヴュー、10月号にもクロス・レヴューでアルバムが取り上げられている。

7点「英語で全曲やってるせいもあるだろうけど、桑田のヴォーカルのリアルさは後退。『KAMAKURA』と比べてもしょうがないけど、よく指摘されるサザンのアマチュアっぽさは、このアルバムには不思議とない。サザン・ファンは3枚のシングルをどうぞ。」(菅岳彦)
(「ミュージック・マガジン 1986年9月号」ミュージック・マガジン、1986)
6点 「うーむ、これは苦しい。シングル3枚に入魂してしまったわけじゃないだろうが、桑田佳祐らしいポップさが少ない。あえてポップな感覚を排除したのかもしれないが、それにしても国籍不明語では独特のノリを見せるヴォーカルが、ここではまるでフツーでつまんない。」(小出斉)
6点 ニホンゴエーゴという、まさに“狭間の産物”としか言いようがないお化けを背負って四苦八苦する桑田君を勝手ながらたのもしく思っているわけだから、「上手くなった嘉門雄三バンド」を聞かされても、困る。」(真保みゆき)
3点 「桑田のヴォーカルも、日本語のそれと比べ、インパクトに欠けてしまっている。割り切って聴かないと非常にツラいレコードだと思う。」(宮部知彦)
8点 「全ての曲が、と言えないにしても、出来のよい曲は、70年代初めのブリティッシュ・ロックのハツラツとした気分を思い出させるほど、いいノリをしている。桑田くんが出したかったのはこの感じなんじゃないかな、というのが手応えとしてわかる。もちろんその狙いが完全に達成されているかどうかとなるとちょっと疑問がないわけでもないが、少なくともやりたいことがハッキリ見えているというだけでも、大成功と言えるんじゃないかな。」(中村とうよう)
(「ミュージック・マガジン 1986年10月号」ミュージック・マガジン、1986)

中村のコメントは問題点は認識してはいそうだがそれでもコメントはポジティブな方向で、どちらかというと他評者のコメントや前月号を踏まえフォローしているような印象だ。中村以外の評者のコメントは抜粋だが、ほぼ全員が藤田と同じ部分に引っかかっているのがわかる。英語詞を歌うことによる桑田のヴォーカルの問題だ。桑田/サザンのこれまでの作品は評価しながら、今回のアルバムはそれに匹敵するものが見られなかった、という立場なのである。

86年12月号では「Kuwata Bandをめぐる様々な反響」という記事で、高垣による11月号の記事に対する抗議文と、読者2名(好意的なもの・批判的なもの)の投稿がそれぞれ掲載された。高垣による抗議文は批評そのものに対してというよりは、ミュージック・マガジン誌の編集姿勢に対する抗議に近い。京都会館のライブ後の9月30日にビクタースタジオで藤田・桑田・高垣・アミューズ松野玲の4名で改めて会談・議論していたにもかかわらず11月号の記事にその事実の記載もなかったこと(桑田の語り下ろし録音は個人的に聞いてほしい、程度のつもりで藤田に渡したとのこと)や、その場で藤田が持論を展開・桑田の意見に対しては反論ばかりで聞く姿勢がみられなかったこと、第三者の意見も掲載するよう提案したが特に何もなかったこと、等に対する抗議であった(「ミュージック・マガジン 1986年12月号」ミュージック・マガジン、1986)。記事の終わりには編集部の「誌面の都合上、他の方々の意見はいずれ改めて取り上げるということでご了承いただきたい」の記載で締まってはいるが、これ以降、この件についての記事が誌面に載ることはなかったようだ。


***


この間、11月にはシングル「One Day」がリリース。年初のシングル・セッションで録ったベーシックに、小島の差し替え・ダビング等を行いリリースされているようだ。(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」アミューズ、1987)
1986年12月には全国ツアーから10月8日・9日の渋谷公会堂、9月26日の名古屋市民会館での模様を収めたライブ盤『Rock Concert』がCD、カセットのみの企画としてリリースされる(抜粋のプロモ盤のみ、LPで作られている)。ハウリング等まで消さずに収めた生々しい編集で、おそらくライブ盤としては珍しい、スタジオで一切手を加えていないアルバムと思われる。
年初スタジオでカバーしていたDeep Purple「Smoke On The Water」で始まり、オリジナル曲以外にもDeep Purple風アレンジのBob Dylan「Knockin' On Heaven's Door」「Like A Rolling Stone」「Blowin' In The Wind」、シングルB面にスタジオ版が入っているテンプターズ「神様お願い」、そしてオリジナルのシングル曲に混じってポツンと(偶然だろうがのちの桑田の方向性を予感させる)Ronettes「Be My Baby」、締めはBeatles「Hey Jude」、などのカバーがセットリストに含まれている。

さてこの『Rock Concert』、またまたミュージック・マガジンではレビューコーナーで取り上げられたが、やはり英語曲については手厳しい。

7点「日本人が歌えば“カタカナ英語”という桑田佳祐説は全く正しいと思うけど、スケベ、スケベー(「スキップ・ビート」)みたいカタカナ日本語(?)の方が、もっと“ニッポンのロック・バンド”だよね、やっぱり。」(菅岳彦)
(「ミュージック・マガジン 1987年1月号」ミュージック・マガジン、1986)
 「ここでの桑田佳祐の柔軟な歌いぶりからすると、スタジオの方はこぢんまりして見えるし、なによりバンドのアンサンブルがよい。そして魅力的なのは、〔1〕①を始め、意表を衝くアレンジによるディラン3曲などのカヴァーであり、その解釈も個性的でよい。そして、日本語の歌もである。が、英語の歌はやっぱり魅力半減だ。」(小倉エージ)
(「ミュージック・マガジン 1987年2月号」ミュージック・マガジン、1987)


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一連の批評に対し、桑田の表立ったリアクションはリアルタイムでは「Rockin’ On」「Rockin’ On Japan」誌のインタビューで意図を語る程度であったが、数年後の談を読むとかなり効いている様子だ。以下、94年のインタビュー。

サザンで作った『綺麗』を外国に持ってって聴かせた時の反応とか、'84年にビデオを撮りにロスへ行ったときのことを覚えてて、「なんか違うぞ、これは。オレが今までやってきたのはなんか思い違いしてるな」っていうのが出てきたのね。いわゆる外国人が喜ぶ音楽っていうのは、オレが茅ヶ崎と東京の間で思ってるロックとは違うなって。オレがロック、ロックって言ってるのは歌謡ロックじゃないかって思ってね。
(略)
ニューヨーク行ってさ、ここで日本語の歌歌ったら気持ちいいだろうなって思わないよ、絶対。すごい活気のなか、パンクバンドとかも観て、オレの想像した通りの観客の熱狂度だったわけ。それで、あのステージに立ったら…って思うじゃない。でも、「お願いDJ」演っても盛り上がらねーだろうなって思うし、「いとしのエリー」でみんな泣くとは思わないもんね。オレがポップス界で目指してきたものは、ビートルズやカーペンターズだからさ。ロックを表現するには英語で歌うしかないだろうって、行きついた時期なのね。

だから、オレは日本語で歌うのが日本人のロックだとは思ってなかった。英語でやって初めてロックで、日本語で歌ったら歌謡曲だって思ってたからね。そういうのを抜かしたら、歌謡曲とロックを分ける基準って精神論でしかなかったでしょ。だったら、日本のロックのサンプルを作ろうよってことで始まってた。

当時としてはしてやったりって気持ちはあったね。できた瞬間はね。だけど、ひと月経ち、1年経ち……、自分の不甲斐なさってのを感じ出しちゃって落ち込んじゃったよ。結局、ロック精神論を言ってたのはオレのほうかなって。トライアルだったんですよ、自分の曲に英語の歌詞をつけてもらって、コンサートツアーを回って……。アルバム1枚をちゃんと現実に還元させたというか。ずいぶん批判されたよね。まあ、誉められることより批判されることの方が覚えてるけどさ。いろいろと知恵がついたよ。考え方をちょっと改めなければいけないなって。今までロックにこだわったことはないんだけど、あえてロックにこだわってみたところに、そう簡単にはいかないんだってのを学習したってところだよね。
(「月刊カドカワ 1995年1月号」角川書店、1994)

海外のオーディエンスのリアクションという意味では、79年にサザンがゲスト出演しているフェス「Japan Jam in 江ノ島」の経験もトラウマになっていると思われる。Beach Boys、Heart、Fire Fall、TKOらが出演したこのフェスで、日本人ミュージシャンのゲストとしてオリジナルの(当然)日本語曲、三連のサザン・ロック歌謡とでも言うべき「恋はお熱く」でスローに登場したサザンは、オーディエンスの米兵等のブーイングを浴びてしまったのだった桑田佳祐ポップス歌手の耐えられない軽さ」文藝春秋、2021)

再び94年、こちらは渋谷陽一のインタビューより。 
「だから、その時に僕は勘違いしてたかもしんないけど、『ロックに日本語を乗っけてて面白いじゃん』みたいなのって、ちょっとピンクレディーの時代の評価だなあっていう。もう時代は変わってるし、海外ではもうバンド・エイドとかやってる時代なのにね。だから、これからはもうちょっと国際性をじゃないんだけど。」
− はははは。
「ちょっと年寄りくさくないかなあって思ったんですよね、そのロックは好き、日本語でやるっていう状況がねえ。」
(略)
− やっぱりサザンオールスターズがなんとなく歌謡曲ジャンルで見られてることへの反発があったんですか。
「あの当時はあったかもしんないね。歌謡曲ジャンルっていうか、だから、ほんとその当時からロックと歌謡曲っていうんじゃなくて、もういろんなものが飛び交ってたでしょう。YMOとかファンクとか。で、今の時代の方がさらに拡大したような気もするけど、価値観がもういっぱいあったと思うしね。日本人が英語で唄っちゃいけないっていう法律はないだろうと思ったからね。だけど作ってみたら、やたらと法律とかタブーみたいなことをかなり言われたんですよね。節操なさ過ぎないかとか。だからそれでビックリしたっていうか。安っぽい言葉かもしんないけど、もしかしたら国際化みたいな言葉がもう当時ぐらいからあったかもしんないですよね。英語の歌の一つも唄えなきゃダメだとか、英語の一つも喋れなきゃダメだとか。今のようにアジアとかの方向に目が向く以前っていうのは、やっぱりロックってものは当然お家元の英語圏ってのを意識しなきゃダメかみたいな発想が俺にもあったし、なんか周りにもあったと思うんですよ。そういう活動をする場合も、もう歌謡曲だとかってことに敵対心を燃やしてる時代じゃないなあと思ったし。だからそういう時代の気分を勝手に自分で持ってたんですけどね」
− 実際に唄ってみて、英語で唄うという行為そのものはどうでした?
「難しかった!やっぱり全然違うんだなと思いましたよ。だから俺は英語で歌えたら制約がないのになって思ってたんだけど、逆の制約がいっぱいあって、ノリがでないとかノリが悪いとか、あと発音できないとか−恥ずかしい話ですけど
− はははは。
「恥ずかしい話だけど、別に恥ずかしくないんだよね。で、あとやっぱり日本人特有の英語ってのがあるかなあと思って、例えばインドネシアにはインドネシア人の英語があるようにね。だけど日本人というのは僕らを含めて必ずアメリカ人っぽくするでしょう、中国人の英語見たいのを嫌うでしょ?だから僕なんかもそうだったんだけど。できたらこのままノリみたいなものを殺さずに、日本人独特の英語の世界なんかできたらいいなあと思ったけど。根がやっぱり限りなくイギリスとアメリカのロックをカッコいいと思ってるから、どうしても『快僧ラスプーチン』みたいなことはできないんですよね
(「季刊渋谷陽一 Bridge Vol.4 Oct. 1994」ロッキング・オン、1994)

ということで前回のとおり、当初はあくまで日本国内向けのレコードにおいて、レコーディング中のトライで感覚的に英語詞を選択したはずが、図らずもロック、ポップスにおける日本語/英語問題や、将来的な海外での活動についてまで考えさせられるに至ってしまったKuwata Bandのアルバム。想像以上に課題を残したことが、この後の桑田の活動にどう影響したかというのは、また1987年以降、見ていきたい。

2021年12月4日土曜日

The Real Thing『The Anthology 1972-1997』(2021)

英Cherry Red Recordsから"Legendary British Band"、Real Thingのアンソロジー・ボックス『The Anthology 1972-1997』がこの夏リリースされていました(気づきませんでしたので慌てて入手しました)。

EMI、Pye、Caribre、RCA、Jive、そしてCaribreとRCAの間でポツンと伊Catawbaから出た楽曲、PyeがPRTになってからのリミックス音源、各シングル・アルバムバージョンなども網羅した、CD7枚組109トラックの素晴らしいほぼほぼコンプリート・ボックスです。ほぼほぼというのはEMIとの契約前に出ているBell盤(こっちがオリジナル・レコーディング)の「Vicious Circle」pt1/2、82年にEMIからポツンと出たシングル「Seen To Smile」/「Look Up (To The Sky)」などが入っていないからです。昨年出たリアルタイムでの未発表録音「Someone Oughta Write A Song」も入らなかったようですが、さすがに去年のベスト盤の価値を残しておくには入れられなかったというところでしょうか。あと、Disc3の「Never Be Alone」ってトラック、Disc1「A Love That's Real」がそのまま入ってるんですけど「Never Be Alone」って曲は知らないので、どうにか間違っちゃったのでしょうか?

ライナーはEddie PillerによるReal Thingへの愛情あふれた詳細な内容です。惜しむらくは内容がグループの成り立ちから、ニューソウル的なコンセプトが濃厚な77年の名作2nd LP『4 from 8』までの記載になっていることでしょうか。せっかくのコンプリート・ボックスなので、Eddie Pillerに通史で書いてほしかったところですが…とはいえ『4 from 8』までの濃厚な文章は楽しく読めます。そして我らがKen Goldもコメントで登場します。やはり「You To Me Are Everything」絡みのコメントですが、この曲はMicky Denneと共作を始めて10作目だったそうで、しかしDenneはいつもコンビの最高傑作だと言っている、たぶんそうだろうね!とのこと。また、Chris Amooのコメントによるとこの曲、実はとある「established pop-star」に書いたものの、ボツになってTony Hallのところに持ち込まれたいうのが面白いです。「established pop-star」、時期的にはCliff Richardでしょうか?

おなじみPye期の音源はこれまでもCD化されていましたが、RCAやJive期の作品がCDで聴けるようになったのは嬉しいですね。Jiveに移ってJohn Astropと組んでシンセバリバリのサウンドでメロウに攻める80年代中〜後半のReal Thingもイイです。Four Topsをハイエナジーでカバーした「I Can't Help Myself (Sugar Pie Honey Bunch)」なんかも試行錯誤の一環かもしれないですが、楽しいです。

これまたこれまで未CD化だったと思いますが、なぜか伊Catawbaから83年に単発で出た「Street Corner Boogie」なんかはNigel Martinezプロデュース・Lynton Naiffブラスアレンジの最高なブギーです。Billy Ocean「Nights」なんかお好きな方は気にいると思います。(その一つ前のメロウな「Seen To Smile」もNigel Martinezプロデュース、Lynton Naiff & Martinezアレンジというイイ組合せなのですが、今回は漏れてしまい…残念)

作品の性質上?サブスクでは扱わないようですので、ブリティッシュ・ソウル好きの皆さま、ぜひぜひ一家に一箱。保存盤です。

2021年8月20日金曜日

1986 (2):”Nippon No Rock Band”

先行したシングル用レコーディングを経て、Kuwata Bandは3月11日よりアルバム用のレコーディングを始める。レコーディング中の4月5日には、ファーストシングルとして「Ban Ban Ban」がリリースされている。

前回の記事で「ハード・ロックやろう」とメンバーを招集したとの桑田のコラムがあったが、それではアルバム制作時点でどのようなコンセプトがあったのかというと、活動の発想の起点であるPower Station周りであったようだ。
「つまりロックのアルバムっていうコンセプトが最初からあったから。具体的には、ロバート・パーマーとかパワーステーションとか、いわゆる黄金のロック系の人、ああいうものの良さってあるじゃない。ロバート・パーマーのルーツはツェッペリンだったりとかして、それでツェッペリンてのはやっぱり新しいんだ、とかという気にみんながなってたのね。『カラフル・クリーム』とかCDで買って来ちゃったりしてさ、聞いてるとカッコいいわけよやっぱり、新しいわけ凄く。これはナウいなと思って、そこから入ってったの。」
(桑田佳祐「ブルー・ノート・スケール」ロッキング・オン、1987)
*Robert Palmerのルーツ云々の箇所は、Power StationのTaylor兄弟の誤りと思われる。

Power Station、そしてRobert Palmer『Riptide』あたりが念頭にあったのは松田のコメントからも推察できる。
松田弘「俺はもともと、打楽器奏者として黒人が好きなんだ。たとえば、シックのドラマー、トニー・トンプソン。」
「俺のイメージでは、白人はすごく器用なプレイヤー、手の動きが早くて、細かいフレーズも完璧にこなす。黒人の場合は、もっと基本的なリズムキープでノリをだしてる。どーんとでっかい迫力があって、しかもガチッと芯を貫いてる。俺は、どっちかというと、後者のドラマーになりたい。(中略)そういうストレートなドラマーを、この1年、目指したんだ。」
(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」アミューズ、1987)

ちなみに松田だけでなく、メンバー全員ルーツがある程度統一されていたというのも面白い話である。
川内淳一「みんな黒人音楽、好きだしね。匂いが、似てるんだ。そういうところが、アルバムにも出てると思う。ヒロちゃんは、ずっとディスコでやってたし、俺もそうだし、琢磨さんに至っては、キネヅカ以前は、お互いそんな突っ込んで仕事したことなかったから、驚いてた。僕がロックばっかりやってきたと思ったんだって。バンドをやると、ドラムはプログレあがり、ベースはジャズあがり、キーボードはクラシックあがり、みたいなパターンが多いね。このバンドはちょっと違う。小島にしても、基本はクラシックでパーフェクトだけど、あいつもやっぱり黒人音楽どっぷりだから
(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」)
とはいっても結局Power Stationほどファンク方面には寄らなかったようだ。

そしてレコーディングもある程度進んだ時点での松田のインタビューが、一番アルバムの内容を的確に表しているといえよう。
ー レコーディングも後半ということで、かなりKuwata Bandのサウンドの輪郭が現れてきたと思うのですが?そのベースとなるのはどのあたりですか。
松田「メンバーそれぞれの育ってきた時代があるから、けっこう広いね。60年代から70年代……。ヘタするともっと前の音楽が趣味の人もいるし。だけど基本的には、ツェッペリン、パープル、クラプトンといったロックを聞いて、“カッコイイ”と思ってロックに憧れた人たちだから、その辺の感覚に今の時代をプラスした音をやろうと。だから単にナツメロ・ロックじゃないよ。
(「Guitar Book GB 1986年8月号」CBSソニー出版、1986)

また、この路線の背景は、やはりサザンとの差別化と言うのも念頭にあったようだ。
このアルバムに関しては、サザンと差別化するって意味合いもあった。サザンに対して疲れちゃったってのがあってね。だから、「なにくそ、サザン!」ってのがあったね。とにかく違うのをやるんだっていう気負いがあったね。
(「月刊カドカワ 1995年1月号」角川書店、1994)


***


このアルバム収録曲の大きな特徴として、サザンや先行シングル曲のように、桑田がまず作曲、その後バンドでヘッド・アレンジする、という流れを行なっていないことがある。バンドでのセッションでトラック作成を先行させ、その中で主に桑田がメロディをはめ込む、という順序で制作を進めたようで、クレジットは全曲「作曲:Kuwata Band」である。

ー 実際には、レコーディングってどういう風に進行したんですか?まず、桑田さんが曲を持ってくるわけですか?
桑田「いやいや、そうじゃなくて、例えば、レッド・ツェッペリンみたいな、とかそういうアイディアをスタジオでみんなで考えて、そんでまあ、後は全員で勝手にーというか緻密なんだろうけど、ひとりひとりはーやっていく、という。それでみんなで丸くなって音を出して、どんどん積み上げていってという…」
琢磨仁「なんかね、混沌とした中からひとつきっかけが出たら、それを中心としてどんどんイメージを重ねていって」
(「Rockin' On Japan Vol.1」ロッキング・オン、1986)

小島「最初の形は何もないんです。まったくゼロから始めるんです。KBかギターでフレーズを作り出したり、弘さんのリズムから始まったり。気持ちいいフレーズが出てきたらそれで行くって感じです。」
(「KB Special 1986年9月号」立東社、1986)

「アルバムの制作はね、メンバーがアイディアを持ち寄るっていうより、なんか弾いて実践しちゃうんだよね、みんな根性入れて。とにかくバテないの、タフなんだ。」
(「ブルー・ノート・スケール」)

セッションにおける各曲の最初のネタ振りは6〜70年代のいわゆる英米ロック全般であったようだ。
ー 「シール・ビー・テリン」、これはどのようなコンセプトで始まった曲でしょう?
桑田「初め、ピート・タウンゼントみたいにしようって言ってたんだよね」
ー へーえ、かなり違いますね。
桑田「かなり違っちゃいましたね(笑)」
今野多久郎「みんなそうです。初め、何かみたいにしようって言うんだけど、できたものは全然違っちゃう」
(中略)
ー 続いての「オール・デイ・ロング」なんですが…
(全員口ぐちに)「これは長かった」
桑田「これは最初始めた時はね、ストーンズの“エモーショナル・レスキュー”みたいな感じだったの」
ー みんな、最初と違っちゃうんですね。
桑田「全然違うねえ、全然違うメロディやったの、最初は」
琢磨「ラテン・ロックっていうか…」
今野「そうそう、ファンクみたいな要素のあるね」
河内「でも、ギターは完璧にブルースだったもんね」
(「Rockin' On Japan Vol.1」)

収録曲は河内のKeith Richards風ギターなどStonesを感じさせる疾走感溢れる「She'll Be Tellin'」、ネタ振りはRobert Palmerだったという「Zodiak」、仮題が「Led Zeppelin」であったイントロからモロにLed Zeppelinの「Paravoid」、小島のオルガンソロが炸裂する「"Boys" In The City」、河内ヴォーカルのスウィングもの「Feedback」、ヘヴィな「Devil Woman」などハードに迫る楽曲だけではない。後述するマシンのビートと小島のシンセ群、Tommy Snyderのラップなどアーバンな趣きもある「All Day Long」、ポップなサザン・ロックの香りもする「Believe In Rock'n Roll」、音数控えめで渋めに迫る「You Never Know」(終盤はZeppelin的か)、シャッフルの「Red Light Girl」、60'sブリティッシュもの「Go Go Go」、河内のDuane Allman風スライドが心地よい「I'm A Man」など、それなりにバラエティに富んでいる。ハード・ロック一辺倒というわけではなく、あくまで「ロック」に拘った、というところのようだ。バラードを入れなかったのはなるべく湿っぽくないアルバムにしようという意図があったのだろう。


***


ゲスト・プレイヤーは少なく、「She'll Be Tellin'」「Zodiak」「"Boys'" In The City」で矢口博康、「Red Light Girl」「Feedback」では包国充、「Go Go Go」で八木のぶお、とこれまでのサザンでもおなじみのプレイヤー3名のほか、「You Never Know」で中西俊博が桑田関連では初参加している。

そしてこのアルバムでの特色として、コンピューター・オペレーションがいつものヨロシタ・ミュージック系の藤井丈司ではなく、ハンマーの小泉洋が担当していることが挙げられる。小泉はもともと最初期TMネットワークで実質的なサウンドの要としてコンピューター・オペレーションを担当、その後ムーンライダーズ・オフィスから森達彦のハンマーに所属していた。藤井はスケジュールの都合でシングルのセッションに続き参加できなかったと思われるが、なぜハンマーの小泉に声がかかったのか明確な経緯は不明。小島によるとキーボードはほとんど手引きだそうだが、シンセの音作りや、ドラム・マシンなど、小泉の果たした音作りもアルバムに大きな影響を与えているだろう。「All Day Long」などは松田のプレイでなく、全編マシンによるドラムのようだ。
彼(筆者注:小島)が7人目のメンバーとして名を挙げたのがオペレーターの小泉洋。1テイク目で彼(小島)が思い切りフレーズを弾いたあと、小泉氏と音決めをするというパターン。
(「キーボードランド 1986年8月号」リットーミュージック、1986)
小島「(「All Day Long」について)最初はぜんぜん違うアレンジでやってたんだけど、1回ぶちこわして、1ヶ月たってから、ドラム・マシーンとボクだけで全部弾いてやり直したんです。」
(「KB Special 1986年9月号」立東社、1986)


***


そしてこのアルバム用セッションで作られたレゲエ調のメロウな楽曲「Merry X'mas In Summer」は収録が見送られ、アルバムリリース直前にシングル盤として単体でリリースされた。河内だけでなく原由子のコーラスまでフィーチャーしており、サザン感が強い。正式メンバー6人で一から録った唯一のシングルA面曲である。
河内「ほんとうはLPに入れる予定で作った曲。あんまりいいのでシングルになった。」
(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」)

この曲のドラムも松田のマニュアル・プレイではないが、プログラミングは松田本人が担当しているようだ。タムだけはシモンズを使う、というのも83年以降の松田の特徴で、「You Never Know」などでもタムはシモンズだ。
松田「これは俺が打ち込んだコンピューターの音を使っている。ドラムオペレーター松田弘の音です。コンピューターに関して、これだけ完璧にやったのは初めて。そういう意味で“俺の音”ってけっこうイイ音してるナなんて自負もあるのです。」
(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」)


***


トラックの録音の目処が立ったところで歌入れとなるのだが、ここで、この後物議を醸すこととなる全編英語詞問題。後々様々理由が語られることになるのだが、そのきっかけは理屈ではなく、あくまでレコーディング中の、現場での感覚的な判断だったようだ。
ー 英語でやろうというのは、クワタ・バンド結成以前にあったアイデアなのかな、それともメンツ揃えて音だしてからなの?
「メンツ揃えて、音出して。直前ですよ、詞を乗せる最後の直前。一回ギターの淳坊ってのがうたったんだけどさ、すごいものを見たんだよ、日本語と英語のチャンポンでうたったんだけど、それ聞いて日本のミュージシャンてホントにかわいそうなんだなって思ったの。こんなに一生懸命作ってね、淳坊みたいな実力のあるヤツがね、ギターバリバリ弾いて、音バッチリバランス取って決めて、タイコの音から全部決めて、アンサンブルしてアレンジして、さあうたうって時になったら、ギブ・ミー・チャンスで僕のベイビー…ってなると、あーって日本のバンドの現状を見たのね。
(中略)やめようやっぱり、申し訳ないぜ自分のプレイにってさ。逆にサザンていうのはそういうとこで闘ってきたのかもしれないけど、逆手逆手に持ってかないでシンプルな形でストーンとね、ステーキとかスペアリブとかを醤油と箸でどのように食べるかっていうのが俺たちのやり方だったわけでしょ。こんな食べ方あるぜー!みたいなさ。だからそうじゃなくて普通に、ナイフとフォークで食べてナプキンで口をふいたらどうかっていうことだけだったんだよね。」
(「Rockin' On Japan Vol.2」ロッキング・オン、1986)

つまり、「Feedback」のタイトルでアルバムB面5曲目に収録された河内ヴォーカル曲を最初に日本語で歌った際、ハマらなかったので英語にしよう、という判断がそのまま他の桑田ヴォーカル曲を含めた全曲に適用されることになったようである。確かに、こと「Feedback」についていえばスウィング・ビートのソリッドなロックンロールに河内のヴォーカル、これには英語詞がぴったりハマっており、筆者個人としてはこのアルバムのベスト・トラックかと思う。確かにこの曲については、この感覚的な判断は間違っていなかっただろう。

英語詞はゴダイゴ活動停止後、ソロとしてinvitationと契約していたTommy Snyderに急遽依頼され、全曲英語詞で歌われたアルバム『Nippon No Rock Band』は7月14日(CDのみ1週間後の20日)にリリースされた。先行して7月5日に「スキップ・ビート」「Merry X'mas In Summer」の2枚がシングル・リリースされている。


2021年6月25日金曜日

1986 (1):『kamakura』後、Kuwata Bandの結成

というわけで1985年秋、『kamakura』後のプロジェクトの一部を形にすることができなかったサザンオールスターズは、原由子の産休を理由に一旦グループとしての活動を休止し、各自ソロ活動を行う期間をスタートさせる。といっても野沢毛ガニのプロジェクトJapanese Electric Foundation、関口和之ソロは既にこれ以前から企画が進んでおり(83年の松田弘以降、ソロ作を出していないのが野沢・関口の両者であった)、両作はサザンの85年プロジェクト終了直後の10月にレコーディングが開始されている。(「KB Special 1986年3月号」立東社、1986/「Guitar Book GB 1986年5月号」CBSソニー出版、1986

原の産休も一つの理由だが、実際のところはそろそろ煮詰まった本体をリフレッシュするために活動休止期間を用意した、というところだろう。
桑田「単純にいうとだから、ちょっと飽きてたというのはありますけど。85年だからもうサザンを7年ぐらいやってるんですよ。なんか飽きるじゃないですか、やっぱりどっか。で、お互いにいいとこも悪いとこもわかっちゃうから。ちょっと一回別れよう、みたいな。」
「やっぱり原さんのこととかで、もっとサザンじゃない形で可能性を探ろう、みたいな。ある意味で半分煮詰まってたけども、ちょっと原さんには悪いけど、逆にそれが前向きになる材料みたいな感じで。」
(「季刊渋谷陽一 Bridge Vol.4 Oct. 1994」ロッキング・オン、1994)
残る桑田、松田、大森のソロ活動を年末にかけて企画することになったと思われる。

そこで桑田が活動アイディアの元としたのが、ArcadiaとThe Power Stationである。Duran Duranの休業期間にバンドメンバーがそれぞれ著名ミュージシャンと別プロジェクトを進行させる、というこの構造をそのまま自身に重ね、サザンの松田を連れ新バンドを結成することにしたようだ。
「クワタ・バンドを、というか、サザン以外のバンドをやってみたいなぁと思い始めたのは一九八五年の暮れ、だっけな……アレを見てたんですよ、アーケイディアとかパワー・ステーションを、MTVでね。こういう方法がメジャーで出来るんだったらっていう、ほんの一瞬の閃きだったんだけども、この閃きを大事にして、「絶対やろう!」みたいなね。」
(桑田佳祐「ブルー・ノート・スケール」ロッキング・オン、1987)

85年までのサザンオールスターズ、特に83年以降のニューウェーブ化は、ビクターのデビュー時からの担当A&R/ディレクター、高垣健の手腕によるところが大きかったことを当時のエンジニア、池村雅彦は示唆している。
池村「プロデューサーの高垣さんが色んな音楽とか新しいプロデューサーやアーティスト、ミュージシャンを勧めて桑田くんを触発していたんですけど、この曲(筆者注:「マチルダBABY」)なんかそういう影響を感じますよね。」
(FM COCOLO『J-POP レジェンドフォーラム』7月はサザンオールスターズを特集!2代目エンジニア池村雅彦をゲストに迎えた番組トークvol.2を公開
この86年以降の展開にどれだけ高垣が関与していたのか、というのも気になるところではある。

85年末の原由子の誕生会において、桑田はスペクトラムのパーカッションでもおなじみ、今野多久郎に新バンドの結成を持ちかける。前述のとおりドラムはサザンの松田、ギターは今野とSTR!Xに在籍していた河内淳一らが召集される。今野は以下のように回想している。
今野「実は、楽器車1台で身軽に、日本中ライブしてまわりたいねっていうのがあったんです。それを12月の原坊の誕生会のときに話して。」
「今じゃ考えられないですけど、はじめは桑田がスケジュール帳を持ってリハーサルスタジオとか押さえるっていうのをやったんですよ。2〜3回やったらさすがにマネージャーに替わっちゃったんですけどね(笑)。
(「証言「1986年」その1 今野多久郎さん」https://www.ongakusyugi.net/special/20161100151a8f15e

サザンとは別のバンドを結成するということで、コンセプトとしては上記のとおり「身軽」「ライブ」というのがあったようだが、結成の時点で明確なサウンドの方向性があったかどうかははっきり語られていない。桑田は当初のセッションについて、以下のとおり語っている。
「で、最初、音合わせみたいな感じで、セッションしてね。」
「ほとんどね、俺のイメージの中にある、一九六四年頃のバンド、ドアーズとかアニマルズとかキンクスとかあの辺の暗さと辛さと悪さっていうか、そういうのに対する憧れだよね。」
「ブルー・ノート・スケール」)

のちに発売されるLP(Taishita/Victor VIH-28259)のライナーのスケジュール(CDではオミットされてしまっている箇所)を見ると、86年1月4日にバンドのリハーサルがスタート、2月8日にはシングルの録音が開始されている。Kuwata Bandの楽曲は、シングルとアルバムで方向性が異なるとはよく言われる話ではあるが、そもそもレコーディングされた時期から異なるようだ。シングル盤記載の参加ミュージシャンやLPのライナー、各種インタビュー等から総合すると、シングルとしてリリースされた楽曲はほとんど初期、2月にまとめて録られ、その後3月11日からアルバムの録音、その先にライブと進めていったようである。

以下は86年3月5日の桑田へのインタビュー。
− それじゃあ、桑田バンドのサウンドっていうか、音はどんな感じ?
桑田「やってみなきゃわかんないっていうか、まず最初に空気から入るから、いつも、例えばスタジオでみんなで音出してみて、お互いに顔を見合わせて、“あっ、ヒロシとキーボードの誰それが気持ちよさそうにやっているかな”、そういうところから入るでしょ。」
− ということは、もうでき上がっているシングルとアルバムは全く別のものだということになるんですか?
桑田「う〜ん、シングル月間とアルバム月間があるから(笑)ただ、バンドのサウンドとしては一本筋を入れたいなって気はしてる。」
(「Guitar Book GB 1986年5月号」)

ただし、同年3月中旬〜下旬と思われる(メンバー紹介では後述する正メンバーが揃っているが、コンピューター・オペレーションは藤井丈司のみの記載)桑田の連載コラムでは、バンドメンバーの招集のエピソードに絡めてハード・ロック宣言が行われており、もしかしたらバンド結成の時点で方向性は既に決まっていたのかもしれない。

で、私、これだけの仕事師のメンバー何つって集めたかというと、これが、
「ハード・ロックやろうよ」
という、何かイキナリ金○ギュッとつかむようないい方なのね。
ハード・ロック。私は次のアルバムはこれで当ててみせる。別に売ろうとは思ってないの。そういうつもりでは作ってない。話題になりゃいんだから。ハード・ロックでウケてみせるよ"桑田バンド"は。
(「週刊セブンティーン 1986年4月22日号 桑田佳祐の有言不実行日記 26」集英社、1986)


***


アルバムのセッション以前に録音された楽曲が以下と思われる。

 ・Ban Ban Ban
 ・鰐
 ・スキップ・ビート
 ・One Day
 ・Smoke On The Water
 ・神様お願い

4曲は桑田のペンによる新曲、もう2曲はそれぞれDeep Purple、ザ・テンプターズのカバーである。

桑田の新曲は特にサザンと路線を変えようという意図は見られない。甘酸っぱいこみ上げ系メロディを骨太な演奏と過剰なエコー(70年代のPhil Spectorでも意識したのだろうか)で包んだ爽快感溢れる「Ban Ban Ban」(サビの美久月千晴のベースが最高である)。85年秋には楽曲は存在していた?アフリカン的な香りも漂う「鰐」。サザンでもおなじみ(しかしこれが最後)新田一郎セクションとEPOを起用した緩めのグルーヴが心地よいファンキー路線猥歌「スキップ・ビート」。バンド結成直後に書かれたという、John Lennon「Love」辺りを念頭に置いたと思しきシンプルなバラード「One Day」…と、いつもの桑田らしくバラエティに富んだ楽曲群である。
「実際にオリジナルの曲をやり始めたのはね…、ちょうど資生堂の話が来たんで、「こりゃーいいぞ」と思ってさ、面白いわけよ。俺のバンドは小回りがきくんだよ、みたいな。」
「で、まずその資生堂の CMソングだっていうのを意識して、よしじゃあメジャー展開を考えていいんだなという部分で、“スキップ・ビート”と“バン・バン・バン”を作ったの。ちゃんとした形としてできたのがその二曲と“メリー・クリスマス・イン・サマー”。だから十割でしょ、打率は(笑)。“ワン・デイ”も正月に出来てたから、もう十二割。」
「ブルー・ノート・スケール」)
*「Merry X'mas In Summer」は作曲クレジット・参加ミュージシャンやメンバーのコメントから、アルバムセッションでの録音と思われる

さて残りのカバーの選曲である。これらは86年3月からオンエアの、サザン出演(!)のTDKカセットテープ・ADのCMに使用されたので、それを前提に企画されたカバーか、はたまたハード・ロック・バンドの肩慣らしとしてのカバー・レコーディングをCMに流用したのだろうか。

「Smoke On The Water」はDeep Purpleの72年のアルバム『Machine Head』収録曲。アメリカではシングル・カットされチャート4位の大ヒットを記録した、ブリティッシュ・ハード・ロックおなじみのナンバー。ここまでの桑田関連の路線からは異色の選曲だが、高校時代、自身のバンドで取り上げていたこともあったようだ。以下、高校時代のクラブの定期コンサートを回想した桑田のコメント。
桑田「そんときやったのは三曲かな。ステッペン・ウルフの「ワイルドで行こう」とジョン・レノンの「ウェル」と、あと「スモーク・オン・ザ・ウォーター」ね。」
− ディープ・パープル!?
桑田「そ。」
− すごいね。その辺の混乱した感じが。
桑田「結局、あのリッチー・ブラックモアのギターってのが、やっぱり象徴だったんだよね。ハード・ロックに傾倒すると、あの人のギターに行っちまうっていうようなさ。だって感動的なんだもん。かっこいいっていうか。俺、グランド・ファンクのマーク・ファーナーってのも好きだったけど、それよかうまいやつがいるって感じで。」
− へえ、ハード・ロックもやってたんだ。
桑田「でもね、本気でやってたのは「ウェル」なんだよね。知ってる?ジョン・レノンの。あっちがやっぱり根本だった。」
(桑田佳祐「ロックの子」講談社、1985)

「神様お願い」はザ・テンプターズ68年のセカンド・シングルで、バンドの松崎由治のペンによる楽曲。当時の桑田にとっては日本語曲のカバーというのも珍しい。テンプターズについて、桑田はリアルタイムでのGS経験をテンプターズとかオックスとか好きだった。」(「ロックの子」)と語っており、フェイバリット・グループだったようだ。サウンドは「Smoke On The Water」のように重厚に仕立てているが、自分と同年代のミュージシャン達の中でのクラシックとしての選曲だったのだろう(例えば、この前後で桑田とプライベートで急接近している山下達郎は、以前から自身のラジオ番組でGS特集を組む際、フェイバリット曲として必ずこの曲で特集を締めている)。

TDKのCMは「Smoke On The Water」編が3月、「神様お願い」編は7月からそれぞれオンエアされた。特に「神様お願い」編は、黒縁眼鏡の桑田を含むビート・バンドに扮したサザン5人と熱狂するギャラリーの様子がモノクロで展開される、珠玉の出来の映像である。「神様お願い」はシングル「Merry X’mas In Summer」のB面に収録されたが、「Smoke On The Water」のスタジオ録音は2021年現在商品化されていない。


***


上記楽曲では、キーボードは『kamakura』セッション後半で原由子の代打も務めたDang Gang Brothers Bandの大谷幸、ベースは美久月千晴による演奏のようだ。86年4月5日リリースの「Ban Ban Ban」7インチシングルでは、大谷・美久月の両名は藤井丈司とともにゲスト・ミュージシャンとしてクレジットされ、バンドのメンバーは桑田、今野、松田、河内の4名のみとなっている。
「どのようなメンツにしようかっていうのは……俺はね、手帳買っていろいろ好きなミュージシャンを書いてたの、そんなにたくさんじゃないけど。河内淳一とか今野多久郎とか美久月千晴とか書いてたのね。その中でもスケジュール的にもダメな人間が二、三人出てきて、ダンガン・ブラザーズの大谷とか」
(「ブルー・ノート・スケール」)

86年3月5日のインタビューではこのように語っている。
桑田「ドラムはヒロシで、あとギターは河内淳一、パーカッションは今野タクロー、元スペクトラムにいた人。基本的にはこの4人のプロジェクトで、ベースとキーボードは流動的になりそう」
(「Guitar Book GB 1986年5月号

シンセのオペレーションは『kamakura』に続き藤井丈司が担当していることもあり、直近のサザンの要素が骨太の演奏と見事に融合したのがこのシングル曲たちといえる。メイン・エンジニアは『kamakura』までの池村雅彦から今井邦彦に担当変更、音像は新たな印象に。今井は『kamakura』でアシスタントの代打として参加したのをきっかけにそのままアシスタントに定着、「Brown Cherry」ではミックスを担当(「サザンオールスターズ公式データブック 1978-2019」リットーミュージック、2019。ここから桑田/サザンのレコーディングは、アシスタントの若手エンジニアをメイン担当にピックアップする手法が続いていくことになる。


***


その後、キーボードはBaker's Shopの小島良喜、ベースはザ・ナンバーワン・バンドの琢磨仁が固定メンバーとして加入。
「それでまあ、オーディションをして、小島良喜っていうのと琢磨仁さんってのが最後に入って来たんだよね。で、一緒にやってみて俺は、「ああ良かった、良かった」って感じなのね。
(「ブルー・ノート・スケール」)

ようやくメンバーが確定したところで、同時代的メロウなブリティッシュ・ファンク風?「Pay Me」を録音。作曲はバンド名義となっているため、トラックを先に作り、その後桑田中心にメロディを作る手法を取ったと思われる(後のLPに繋がる流れである)。ラストにTommy Snyderのラップが入るのも面白い。
琢磨「PAY MEはやってます。これはすごくおしゃれで素敵な、僕の好きな曲のひとつ。前からあった素材を急遽引っ張り出して、みんなで盛り上がって、夜の2時ぐらいからいきなり2時間ぐらいで録ってしまった。」(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」アミューズ、1987)
そのまま、アルバムのレコーディングが開始されることになる。

なお、その後のTDKのCMで流れた2曲、Creedence Clearwater Revival「Have You Ever Seen The Rain(雨を見たかい)」のカバーについては、琢磨が「僕がやってます」(「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」)と発言していること、またPinetop Sparks(というよりはB.B. King)のカバー「Everyday I Have The Blues」 もCMのオンエア開始が最後だったことから、これらはメンバー6人が揃ってからのレコーディングと推察される(出演は最後までサザンであった)。「Have You Ever Seen The Rain」はシングル「One Day」のB面としてリリースされたが、「Everyday I Have The Blues」は未商品化。

また、86年7月以降にリリースされた「スキップ・ビート」「One Day」については、「Kuwata Band "Final" Bokura: Nineteen Eighty-Seven」の小島のコメントによると、小島によるキーボードのダビングや差し替えが行われている。さらに、「スキップ・ビート」「Pay Me」「One Day」については、当時小島と同じ事務所に所属していた古川貴司がマニピュレーターとして参加している(「KB Special 1986年9月号」立東社、1986)。これはおそらく藤井丈司がEPO『Pump! Pump!』のレコーディングのため、3月初旬にはKuwata Bandのレコーディングを離れた影響と思われる。

2021年6月14日月曜日

Bookham And Riskett 「We Got A Love」[Ken Gold Songbook]

1976年にKen Gold-Mickey Denneコンビ作でリリースされた、Bookham And Riskett唯一のシングル、「We Got A Love」のご紹介です。

Bookham And Riskettは女性2名のコンビで、Joanne WilliamsとVicki Brownの変名ユニットのようです。Joanne Williamsはもともと英Alaskaからソロシンガーとして前年75年より数枚のシングルをリリースしていました。Vicki Brownは元The Vernons Girlsのメンバーで、グループ解散後はセッションシンガーとして活動していたようです(77年以降、ソロ作のリリースがあります)。どういった経緯でこの2名が引き寄せられシングルをリリースすることになったのか経緯は不明ですが、シングルのA面には当時The Real Thingのヒットを飛ばしていたGold-Denneコンビの作品が取り上げられることになりました。

「We Got A Love」は76年3月に英Alaskaからリリースされました。プロデュースはJohn Schroeder、アレンジはMike Moran。Goldは完全に作曲家としての関与のみのようです。John SchroederはHelen Shapiroの「Don’t Treat Me Like a Child」「You Don’t Know」などの共作者で、Pye期Status Quoや70年代Cymandeのプロデューサーであり、そしてAlaska Recordsの創始者でもありました。Mike Moranは同時期だとJimmy Helmsのアレンジなども手掛けていますが、テレビや映画音楽も幅広く手掛けており、例えばGeorge Harrison監督総指揮の「Time Bandits」の音楽もMoranによるものでした。80年代後半以降のQueen関連でもよく登場しており、Freddie Mercury & Montserrat Caballéの「Barcelona」なんかもMoranとFreddie Mercuryの共作です。当シングルのB面もMoran作でした。

さてさて「We Got A Love」、楽曲はというとGold-Denneコンビのこみ上げる切なさを孕んだ爽やかなメロディを、Moranによるフィリーソウル調の軽やかなアレンジで包むという、この当時のGold-Denneらしい雰囲気に仕上がっています。しかしMoranのこのアレンジ、どう聴いてもこの4ヶ月後にKen Goldの全面プロデュースでレコードデビューを飾ることになるヴォーカルグループRumours、のちのDelegation「The Promise Of Love」にそっくりです。まあ楽曲自体元になった感はあるのですが…Delegationのシングル盤にはアレンジのクレジットは無くProduced By Ken Goldのみですので、これはGold…というところですが(Moranは上物のみ、とかですかね?)、とにかく、このようにポップスの歴史というのは脈々と連なっている、ということがわかるというものですね。


2021年3月21日日曜日

大滝詠一『A LONG VACATION』のバージョン違い

大滝詠一さん『A LONG VACATION』リリースから40年です。このシリーズも久々の記事追加になります。
このアルバムは大瀧さん存命中から『NIAGARA MOON』同様出来に迷いがなかったようで、ナイアガラものでは珍しく、基本的に別ミックスがありません。『SING A LONG VACATION』やFiord7名義のインストと、2011年盤で公開されたカラオケ以外はほぼエディット違いで、ご本人にとっても別格扱いの作品だったのがわかります。40周年Vox収録バージョンについてはのんびり追記しますので、まずはこれまでのバージョン違いについて、以下どうぞ。(2021/8 追記しました)
※80sナイアガラは収録されたオムニバスがかなり多いため、今回以降のまとめではオムニバス作品については挫折・除外しました。すみません。


●君は天然色

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aの、イントロ前のカウントまでがカットされたシングル・エディット
君は天然色(Single)
BEST ALWAYS

◆Version C … Version Bのヴォーカルをオルガンに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version D … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version E … Version A/Bの、TVアニメ「かくしごと」用エディット・バージョン
NIAGARA TV SPECIAL Vol.1 in HAPPY ENDING

◆Version F … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Bと同じ尺のカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … 「Original Basic Track」、ダビング前のベーシック・リズム・トラック
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track C … Version Aと同じ尺のカラオケ
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021


●Velvet Motel

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
B-EACH TIME L-ONG 1985
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
B-EACH TIME L-ONG 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをオルガンに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン「Summer Breeze」
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version D … 一部ヴォーカルがダブルで、ストリングスの入るタイミングが異なったり、終盤でラジの未発表コーラスパートも入っている5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version E … 「Strings Mix」、Track Bの前田憲男によるストリングスとヴォーカル、アコギのミックス
暑さのせい EP

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … 「Basic Track With Orchestral」、ほとんどの部分がVersion A他でオミットもしくはオフミックスされた前田憲男のストリングスを大きくフィーチャーしたベーシック・トラック
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021


●カナリア諸島にて

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
君は天然色(Single)
A LONG VACATION(master sound) 1983
B-EACH TIME L-ONG 1985
A LONG VACATION 1989
B-EACH TIME L-ONG 1989
A LONG VACATION 1991/1997
B-EACH TIME L-ONG 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをピアノに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version D … 歌詞の無い状態のガイド・メロディが入った「Melody Memo」
ROAD TO A LONG VACATION in A LONG VACATION 40th Anniversary Edition
ROAD TO A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version E … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … Take 1
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track C … コーラスが入ったVersion Aのカラオケ
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021


●Pappi-doo-bi-doo-ba物語

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをオルガンに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … Take 1
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021


●我が心のピンボール

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをギターに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … Take 1
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021


●雨のウエンズデイ

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
恋するカレン(Single)
雨のウエンズデイ(Single)
A LONG VACATION(master sound) 1983
B-EACH TIME L-ONG 1985
A LONG VACATION 1989
B-EACH TIME L-ONG 1989
A LONG VACATION 1991/1997
B-EACH TIME L-ONG 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをピアノに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version D … 本採用テイク(アレンジ)以前に取られた初期バージョン
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version E … 本採用バージョンの体制でのTake 1
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version F … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021


●スピーチ・バルーン

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
SNOW TIME 1995
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのヴォーカルをピアノに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … ラフ・ミックス
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021


●恋するカレン

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
B-EACH TIME L-ONG 1985
A LONG VACATION 1989
B-EACH TIME L-ONG 1989
A LONG VACATION 1991/1997
B-EACH TIME L-ONG 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
B-EACH TIME L-ONG in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aと同じだが、イントロのみボリュームを上げている
恋するカレン(Single)
雨のウエンズデイ(Single)
BEST ALWAYS

◆Version C … Version Aのヴォーカルをオルガンに差し替えたインスト・バージョン
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version D … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version E … TVドラマ「一番大切なデート 東京の空・上海の夢」用の、Version Aのエディット・バージョン
NIAGARA TV SPECIAL Vol.1 in HAPPY ENDING

◆Version F … Take 1
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version G … Version Cのモノミックス、イントロはカットされている
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version H … 5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021


●FUN×4

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1989
A LONG VACATION 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021
夢で逢えたら(大滝詠一Single)

◆Version B … Version Aのヴォーカル・コーラスをオルガンに差し替えたインスト・バージョン、最後の「手に入れてしまったよ」のヴァースで演奏がブレイクしない
SING A LONG VACATION 1982
A LONG VACATION 2001
SING A LONG VACATION in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version C … 井上鑑によるストリングス・インスト・バージョン
NIAGARA SONG BOOK 1982
NIAGARA SONG BOOK 1989
NIAGARA SONG BOOK 1991/1997
NIAGARA SONG BOOK 2013
NIAGARA SONG BOOK in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version D … 最後の「手に入れてしまったよ」のヴァースで演奏がブレイクせず、Version A、Track Aではカットされた最後のコーラス後の含み笑い?も入っている5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Aのカラオケだが、コーラスの定位が別のミックス
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … 間奏がトランペット・ソロの別ミックス、最後の「手に入れてしまったよ」のヴァースで演奏がブレイクしない
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track C … コーラスが入らないカラオケ、最後の「手に入れてしまったよ」のヴァースで演奏がブレイクしない
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021


●さらばシベリア鉄道

◆Version A 
A LONG VACATION 1981
A LONG VACATION(master sound) 1983
A LONG VACATION 1991/1997
A LONG VACATION 2001
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION SINGLE VOX in NIAGARA CD BOOK II 2014
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition 2021
A LONG VACATION in A LONG VACATION VOX 2021
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version B … Version Aのイントロ冒頭をカット、歌が終わるとすぐフェイドアウトするシングル・エディット
A面で恋をして/さらばシベリア鉄道(Single)
BEST ALWAYS

◆Version C … Version Aのヴォーカルをギターに差し替えたギターインストの「Siberia Guitar Version」、尺はVersion Bと同じ
哀愁のさらばシベリア鉄道(Single)
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version D … Version Aのヴォーカルをオルガンに差し替えたインスト「Siberia Organ Version」、尺はVersion Bと同じ
哀愁のさらばシベリア鉄道(Single)
NIAGARA RARITIES SPECIAL in NIAGARA CD BOOK II 2014
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version E … Version Aと同じだが、15秒前後早くフェイドアウトする
SNOW TIME 1995
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version F … Version Cと同じだが冒頭カット無し、1ヴァース分をカット、フェイドアウトはVersion Cより長い(がVersion Eよりは数秒早い)「Siberia」
SNOW TIME 1995
SNOW TIME in NIAGARA CD BOOK II 2014

◆Version H … Version Cのプロモ盤用モノミックス
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version I … Version Dのプロモ盤用モノミックス
SING A LONG VACATION + Fiord 7 in A LONG VACATION VOX 2021

◆Version J … Version Aと同じ尺の5.1chサラウンド・ミックス
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track A … Version Eのカラオケ
A LONG VACATION 2011
A LONG VACATION TRACKS and More in A LONG VACATION VOX 2021

◆Track B … ラフ・ミックス
A LONG VACATION SESSIONS in A LONG VACATION VOX 2021