2018年1月25日木曜日

アミダばばあ&タケちゃんマン「アミダばばあの唄」[桑田佳祐Songbook]

83年の桑田さんの提供曲の締めくくりは、81年の番組スタート以降、どんどんその勢いを増していく真っ只中にあった「オレたちひょうきん族」のキャラクター、アミダばばあとタケちゃんマンが歌う「アミダばばあの唄」でした。

「オレたちひょうきん族」は番組スタッフの趣味で(かつ出版がパシフィック音楽出版というのもあったかもしれません)、エンディング・テーマはEPOさんによるシュガー・ベイブ「DOWN TOWN」のカバーや、山下達郎さん「パレード」などが当時使われていました。番組内の企画からレコードが生まれることも多く、1982年1月にはうなずきトリオによる大瀧詠一さん作「うなずきマーチ」、ひょうきんストリートBANDによる佐藤エポ子作曲「THE TAKECHAN-マン〜タケちゃんマンの歌〜」、翌83年4月は安岡力也さんによる、内田裕也さん&加瀬和彦さんコンビの過去作のリメイク「ホタテのロックンロール」などがリリースされていました。そんな中、タケちゃんマンシリーズで新たな悪役として登場した明石家さんまさん扮する「アミダばばあ」のテーマのオファーが、桑田さんに出されることになります(さんまさんによると、軽い気持ちで桑田さんに声をかけたのがきっかけだったそうです)。

コント中でアミダばばあが口ずさむ「アミダくじ、アミダくじ、ひいてたのしいアミダくじ」というのは土佐のお座敷遊び「菊の花」の替え歌という説がありますが、タケちゃんマンシリーズでさんまさん扮する悪役は有名曲の替え歌を自身のテーマにすることが多く、影響を受けた可能性は高そうです(さんまさんは無意識だったようで、元ネタ確認の結果アミダばばあ放送期間にレコードのリリースが間に合わなかったと話していますが、遅れたかもしれませんが間に合わなかったというのは記憶違いかと思います)。このアミダばばあの短いテーマをベースに桑田さんが編み出したのは、ここまでの提供曲ではおなじみの路線である、ジャズ歌謡ものでした。

アミダばばあの短いテーマでコードを探りながら進めていったところ、直後はベースが下降する「While My Guitar Gently Weeps」のような進行にたどり着いたとのことで(ということは辿っていくと英国フォークの影響下にあると言うこともできなくは…)、なんとも渋い曲に仕上がったものです。歌詞でコミカルさを出してはいますが…。

編曲はいつもと色味を変えたかったのか、八木正生さんではなく新田一郎さんを起用しています。ということで当時のホーン・スペクトラムを含めた、新田一郎セクションによる演奏と思われます。ピアノは難波弘之さんのようですね。「ばばあ」コーラスはEVEのお三方でしょうか。さらにBメロでハモっているのが桑田さんと原由子さんのようです。一方、「ひょうきん族」本編では八木正生バンドをバックにさんまさん・たけしさんが歌うこともありました。


シングルはひょうきん族の制作局がフジテレビということで、フジサンケイ系列のキャニオンからリリースされました。当時、アミダばばあこと明石家さんまさんはCBSソニー、タケちゃんマンことビートたけしさんはビクター所属で、おそらく平等を期すためにキャニオンからリリースされたのでしょうか。オリコン最高47位を記録しています。

その後さんまさんがキャニオンに移籍したため、87年のアルバム『世渡り上手』では同じトラックを使い、さんまさんソロでリレコーディング?されたのかヴォーカルは別テイクです(ただし、歌が終わった後のアミダばばあとタケちゃんマンのコント部分はしれっとオリジナルと同じものが入っているのですが…)。正直ソロバージョンはタケちゃんマンのヴォーカルが無く、別テイクであるさんまさんの歌い回しも含めイマイチなのですが、リイシューし易いバージョンはこちらのようで、オリジナルバージョンが容易に入手できないのが残念なところです。なお、シングルB面「アミアミダダバ アミダばば」(関口和之さん&新田一郎さんコンビ作品)はオリジナルもアミダばばあが通しで歌っているからか、『世渡り上手』バージョンはタケちゃんマンのヴォーカルを抜いただけのようです。

セカンドジャケは見にくかったタイトル文字の色を変えただけかと思いきや、B面の歌詞が一部伏字になっていました。怒られたんでしょうか…