2020年2月6日木曜日

The Real Thing『Best Of The Real Thing』(2020)

The Real Thingの新しいベスト盤、『Best Of The Real Thing』がリリースされました。
結成50周年を迎え制作された、グループの軌跡を辿ったドキュメンタリー映画「Everything - The Real Thing Story」の公開にあわせたアルバムのようです。

Ken Gold関連としてはDelegationなどど比べるとベスト盤を編まれる機会が多く(といっても本当にベスト盤ばかりで、オリジナル・フォーマットでのアルバム・リイシューの機会に恵まれてるとは言い難いのですが)、今回もグループの歴史を振り返るというのが念頭にあるのか、選曲は全盛期であるPye時代からの代表作中心です。曲順は年代順でなくシャッフル、というところで味を変えているようです。「初CD化」と謳われている7曲は全て、過去に公式に(Pye原盤ですので、PRT、Castle、Sanctuary、それから日本のビクターなどから)CDとしてリリース済みというのが気になるところですが…まあ細かいところは置いておきましょう。願わくば、Bell、EMI、Pye、Jive、RCAと、キャリアを全て網羅したベスト盤もいつか実現してほしいものです。

とにかく今回の収穫は実はReal Thingの3枚目のシングル用に書かれ、録音までしていたのにオクラになったKen Gold & Michael Denneコンビ作、「Someone Oughta Write A Song (About You Baby)」のオリジナル・レコーディングでしょう。Amoo兄弟の自作志向によりオクラにはなりましたが、Goldは同じトラックを使用し、別レーベルからThe Realisticsのシングルとして世に出すことになりました。正直イナタいRealisticsの歌に比べると、Real Thingバージョンはやはり貫禄の出来です。Realisticsの後にもGoldは自身がプロデュースする新人グループ、Delegationのレコーディングでも取り上げ米国ではシングル・カットしたくらいですから、作者としてはそれなりに拘りがあったのでしょう。ライナーが思いの外あっさりしてましたので、ここに勝手にしたためておきます。グループの公式TwitterアカウントにはVinylリリース希望のリプライなんかもいくつか付いていますが、この曲を7インチで、70s Pye風のレーベルデザイン(パープルとピンクのグラデーション)なんかで出してくれると、私のようなオタクはとっても喜びます。

さて、Ken Goldファンとして気になるのが今回の映画です。
オリジナル・メンバーのインタビューなどを通してTHE REAL THINGの歴史だけでなく、英国音楽史最初のブラック・ミュージック・レヴォリューションや70年代イギリスの時代背景なども捉えているという。」(メーカーインフォより)
ということなので、Real Thingファンならずとも非常に興味深い作品なのですが…さらに!出演者にはしっかりKen GoldやMichael Denne、Billy Oceanなんかがクレジットされています。Goldは新作の知らせはとんと聞こえてこず(出してたらごめんなさい)、公の場で過去の仕事について語るというのは非常に珍しい機会かと思います。日本でも配給していただくよう、是非ともお願いします…!