2015年7月4日土曜日

The Realistics「Someone Oughta Write A Song About You Baby」「The Magic You Do」「So Sad」and others [Ken Gold Songbook]

(2019/12 文末にReal Thingのバージョンについて取り急ぎの追記をしました)

Realisticsといえば「Puttin' It Down」で既出のヴォーカルグループですが、77年になりGoldがReal ThingやDelegationを手がけヒットを生む中で、再び楽曲提供とプロデュースを担当することになります。77年に英エピックから今回紹介のシングルが3枚、計5曲がリリースされますが、アルバムのリリースはありませんでした。

77年4月にリリースされたのが「Someone Oughta Write A Song About You Baby」c/w 「Unchain Me」です。両面ともバリトンのリードをフィーチャーし、A面がアップ・B面がスローの組み合わせです。この「Someone Oughta Write A Song About You Baby」、特筆すべきはリズム・パターンです。日本ではシカゴ・ソウル(にニューオーリンズ的なフレーバーを組み合わせた?)の影響でこのもう少し後から何曲か出現することになるのですが、影響元が同じかどうかはともかく、イギリスと日本で同時期に同じようなことにトライする似たような人がいたというのは非常に面白いものです。ブラス・ストリングスアレンジとしてLynton Naiffがクレジットされています。後にGoldはDelegationにもカバーさせ『The Promise Of Love』に収録したのは前述の通りですが、Delegationの方が若干演奏がタイトになっています。また、79年4月にはGoldプロデュースでSpookeyというマンチェスターのグループがシングル・リリースしています(「Someone Oughta' Write A Song About You Baby」c/w 「Times」、どちらもGold-Denne作品です)。このバージョンはドラムが四つ打ち、ブラスも賑やかで、また違ったポップな印象を受けます。

7月には「Love Vibrations」c/w「The Magic That You Do」がリリースされます。このB面扱いの「The Magic That You Do」、リードのファルセット、ギターのカッティング、シンベ、浮遊感のあるエコーなどの組み合わせの、洗練されたかなり好みな曲です。このシングルにはProduced by Ken Goldの記載しかありませんが、後述のシングルにはアレンジャーとしてLynton Naiffがクレジットされています。

10月に最後のシングルとしてリリースされたのが「So Sad」で、B面は前作同様「The Magic That You Do」が収録されています(時間・予算が無かった?)。「So Sad」は語りから始まるスウィート・ソウルもので、こちらもファルセットのリードが映えるメロウなGoldらいしい曲と言えるでしょう。アレンジはB面同様Lynton Naiff。Goldのスウィート・ソウルものでの最高傑作は翌年、Delegationのシングルとしてリリースされることになります。

残念ながらこの3枚のシングルを持ってGoldはRealisticsと離れてしまいますが、アルバムなども残していってほしかったですね。


(2019/12 追記)
「Someone Oughta Write A Song」は、もともとReal Thingが「Can't Get By Without You」の後にGold-Denne作品の第三弾として76年8月に録音していたものの、自作曲志向があったReal Thing側の意向でお蔵入りになってしまった楽曲だったようです(リズムトラックはRealsiticsのものとほぼ同じに聞こえます)。2017年にKen Goldがマスターのコピーを発掘し、この度、リリースの運びとなったとのこと。
こちらのオフィシャルサイトの記事に経緯があります。
http://therealthingofficial.com/missing-for-43-years-the-real-thing-release-a-new-single-from-1976/








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