2015年5月2日土曜日

Delegation「The Promise Of Love」「Where Is The Love (We Used To Know)」and others [Ken Gold Songbook]

Ken Goldのシリーズ、いよいよGoldが長きに渡ってかかわることになるヴォーカル・グループ、Delegationの登場です。

76年、Real ThingのシングルをヒットさせたKen GoldとMicky Denneは自身の曲を歌わせる黒人ヴォーカルグループを探し、「Melody Maker」誌に広告を掲載しました。これを見たバーミンガム出身のLen Coleyが友人と申し込みに行ったのですが、「まともなリードヴォーカルを連れてこい」と門前払い、Coleyが改めて連れて行ったのが別の友人Ricky Baileyでした。ここでGoldがプロデュースを快諾、という流れのようです。Ricky Bailey・Len Coley・Roddy Harrisの3人グループはRumoursと名乗り、Goldは英Stateと契約します。

そしてGold-Denneコンビ作・Goldプロデュースで7月にリリースされたファースト・シングルが「The Promise Of Love」です。ストリングスがフィーチャーされたフィリー・ソウル風の、軽快で爽やかで、そして少し切ない仕上がりになっています。B面はGold-Denneクラシック「It Only Happens」をGold自らのプロデュースで取り上げていますが、非常に簡素な仕上がりで、ヴォーカル・グループのファースト・シングルなのにRicky Bailey1人しか登場しないというのはどういうことなのでしょうか(関連するかどうか不明ですが、「The Promise Of Love」のシングルは77年10月に再発され、B面が「Back Door Love」に差し代わっています)。このシングルは出来の良さとは裏腹に、チャート・インしませんでした。さらに、リリースの1ヶ月後、グループはDelegationに改名します。

翌77年2月にはセカンド・シングル「Where Is The Love (We Used To Know) / Back Door Love」がリリースされます。前作同様両面共にGold-Denneコンビ作ですが、プロデュースのクレジットもKen Gold/Mickey Denneと連名となりました。「Where Is The Love (We Used To Know)」はUKチャート22位まで上昇した名曲で、これまたフィリー風のストリングスと爽やかなリズム・セクションに乗せ、切ないメロディが繰り広げられます。Ricky Baileyもお気に入りだったのか、Delegationがソロ・プロジェクトとなりGoldの元を離れて以降の87年に再演しシングル・リリースしています。B面「Back Door Love」もフィリーもので、この頃はGold達はフィリー路線でこのグループを売り出したかったようですね。

7月リリースの3枚目のシングル「You've Been Doing Me Wrong / Baby You're My Mystery」もGold-Denneコンビ作で、プロデュースはGoldの単独表記に戻りました。また、ブラス/ストリングス・アレンジャーとしてLynton Naiffも両面にクレジットされています。こちらはチャート最高49位を記録しました。このシングルも前2作の系譜にある出来です。そしてこの前後で、Roddy Harrisがグループを離れ、Ray Pattersonが加入しています。

上記3枚のシングルを経て、11月にファースト・アルバム『The Promise Of Love』がリリースされました。

A-1 The Promise Of Love
A-2 You've Been Doing Me Wrong
A-3 We Can Make It [*Denne-Feeney]
A-4 Heaven Is By Your Side
A-5 Back Door Love
B-1 Where Is The Love (We Used To Know)
B-2 Soul Trippin'
B-3 You And Your Love
B-4 Someone Oughta Write A Song (About You Baby)
B-5 Steppin' Out Of Line

全編Goldのプロデュースで、1曲(A-3)を除き全てGold-Denneコンビ作のナンバーということで、既にキャリアのあったReal Thingとは違いトータルでGoldがバックアップしています。基本的にはシングル曲同様にフィリー風のサウンド中心ですが、終盤になると少しフィリーから離れます。特にB-4(76年8月にReal Thingが録音したもののお蔵入り、翌77年にRealisticsのシングルとしてリリースされた曲で、アレンジの方向性は一緒ですがDelegationの方が歌のせいか少し軽めで、若干洗練されている印象です)のドラムとベースのリズム・パターンなど、この後のGold関連作品につながる流れです

なお、このオリジナルUK盤『The Promise Of Love』は、一度もCD化されることはありませんでした(後述するUS盤の曲目に2曲加えたものが米Collectablesの96年CD『Golden Classics Edition』です)が、2015/5現在、iTunesでは上記UK盤の内容のみ(謎のボーナストラック付で)取り扱われており、さらに、State時代のシングルも取り揃えられています。
追記:2017年、遂に英bbrから40周年記念盤がCDでリリースされました。英盤の内容に米盤収録曲やシングル曲等を加えた、充実の内容です。








(こちらが謎のボーナス付配信版です)

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