イギリス出身のソングライター、Ken Goldに関する作品についてしたためていくシリーズを始めてみたいと思います。なかなか面白い人だとは思いますが、残念ながら今のところ作品集なども編まれていないようですので、私の知っている楽曲の中から好きなものを年代順に掲載していきます。
第一回目は「You’re The Song (That I Can’t Stop Singing)」です。オリジナルは1973年、Tony RiversがJohn Perryと組んだHollywood Freewayのシングルとしてリリースされました。作者クレジットはC.Gold-T. Rivers(当時は本名?のC. Goldだったようですね)。アレンジはDon Gould、プロデュースはRivers本人です。Riversはこの曲に執着があったようで、75年にRiver名義で、ストリングス・アレンジBruce Baxter、RiversとDan Logginsプロデュースで再録の上シングル・リリースしています。
75年の再録盤がきっかけでRiversはBruce Welchに見い出され、Cliff Richardのアレンジャーやツアー・メンバーに起用され、Riversがアレンジを担当した76年の『I’m Nearly Famous』(英国のスター・Cliffの米国進出第一弾でした)ではGoldも作家・コーラスとして参加することになります。GoldはMichael Denneとの共作でCliffのファルセットをフィーチャーした「I Can't Ask For Anymore Than You」と、こちらもファンキーな「You've Got To Give Me All Your Lovin'」を提供しています。
73年当時のGoldとRiversの関係はよくわかりませんが(※注:その後なんとなくわかりましたのでこちらやこちらなどをご覧ください)、当時RiversはGoldと同じくScreen Gems Columbia Musicと契約していました。Screen Gems Columbia Musicといえば元々あのAldon Musicが前身であり、あのLester Sillが社長を務めたポップス・ファンには馴染みの出版社だと思います(76年のBillboard誌掲載のScreen Gems Columbia Musicの広告ではGerry Goffin、Carole King、Barry Mann、Cynthia Weil等錚々たるソングライターと並びKen GoldやMicky Denneが記載されています)。Riversもここと契約することで自身の作家としての幅が広がったと述べており、この曲も60年代後半のRiversが得意としていたウエスト・コーストの風を感じるハーモニー・ポップ路線ではなく、メロウなソウル調のサウンドと練られたコーラスの組み合わせになっています。Rivers自身、Chi-litesのようなシカゴもの、またDelfonicsやStylisticsなどフィリーもの(Thom Bellの大ファンのようです)などのヴォーカル・グループが好きだったとのことです。
75年のRivers名義のシングル・リリース後、同年のうちに女性ヴォーカル・グループLove Machineが『Love Machine』でカバー(作者クレジットがGoldの記載が無い上によりによって“Johnny Rivers”と完全に違う人になってますが…)、76年にはシカゴ・ソウルの重鎮Jackie Wilsonにも『Nobody But You』で取り上げられ、イギリスではシングル・カットされています。同76年にはあのFrankie Valliのアルバム『Valli』にてBob Gaudioプロデュースで取り上げられました(Goldの初ヒット、Real Thingの「You To Me Are Everything」も同時に録音され、こちらはシングルのB面に収録されました)。
とまあGoldの話というよりはRiversの話になってしまいました。というのもこの曲、Rivers側の資料や本人コメントがあっても、Goldについて全く触れられてないんですよね…。
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