元々93年というのは、ミュージシャン側としても特に何も予定がなかったものの、何せデビュー15周年の年ですから、何もしない訳にもいかず、「エロティカ・セブン」「素敵なバーディー」という、83年以降禁じ手としていたバタ臭いラテン・ディスコ歌謡/ブルージーな三連ものを10年ぶりに解禁しました。しかし、アルバムを出すほどのモチベーションも無く、何とか会社側の企画で絞り出されたのが本作かと推察しますが、安易にベスト盤に行くこと無く、意欲的な企画が飛び出します。
どんな企画かというと、過去の録音をメドレー形式でフロア向け風にリミックスするというものでした。何しろこの作品、公式でも未だに全く制作体制が公になっておらず、謎のままです。リリース時の設定は「謎の集団Z団がサザンのマルチ・マスターを盗難しリミックス、(架空の・というかこの作品のためのレーベルである)『江ノ島レコード』からリリースする」というものでした。しかし、少なくとも福富幸宏さん・斎藤誠さんが後にそれぞれ公式サイトで参加作品として掲載されていたことがあり、小西康陽さんも福富さんが当作品に携わっていることをサイトに書かれていたこともあるため、このお二人は参加しているのが確定と見ていいでしょう。当作品が好評となり、翌年福富さんへブルーハーツのリミックス企画『KING OF MIX』プロデュースの依頼が来ることになります(その際アルバムの名義は「盗賊団」でした)。今でこそサザン関連に欠かせない存在の斎藤さんもこの時点ではサザン関連のレコーディングから離れて久しく(原由子さんの84年『Miss YOKOHAMADULT』の後は92年の同じく原さん「友達でいようね」の編曲とアニメ「眠れぬ夜の小さなお話」の音楽を担当した程度でした)、この作品も過去とは違う文脈で声がかかったのかもしれません。さらにさらに、今野多久郎さんもaxelleのプロフィールに本作プロデュースの記載があります。今野さんも桑田さん絡みでは90年代半ばまで様々共演があり、人脈の供給元としても重要な方です。
のっけから、八木グランドオーケストラによる「Dear John」のイントロのループに突き刺さるビート、桑田さんのライブの定番「スタンド、アリーナ、カーモーン」の叫び、そして始まる「勝手にシンドバッド」…と、最初からなかなか凝った作りです。マルチ・マスターからのミックスで、単純にドラム・ベース等を差し替えて繋ぐだけでなく、例えば「勝手にシンドバッド」で「そんなヒロシに騙されて」のギターや「My Foreplay Music」のピアノが登場したり、「マチルダBABY」のシンベに「ボディ・スペシャルII」、同じく「マチルダBABY」のサックスに乗せて「私はピアノ」のヴォーカルが展開されたりと、マッシュアップが93年の歌謡界で堂々と繰り広げられておりました。17分に渡って、最新曲「エロティカ・セブン」を含むサザンのヒット曲・人気曲が次から次へと登場します。
また、当作品のリリースは手順も凝っていました。まずはラジオOAを行い、8月に12インチのみを先行で1万枚限定リリース。即日完売という煽り方で、「急遽9月にCD・カセットのレギュラー・リリースが決定!」という、珍しく手の込んだ演出でした。12インチはビクターのクレジットがジャケット上記載が無く(規格番号でわかるんですけど)、盤レーベル上に「MANUFACTURED BY VICTOR ENTERTAINMENT INC., TOKYO, JAPAN」があるのみでした。CD・カセットのジャケットは「MANUFACTURED BY V. E. INC., TOKYO, JAPAN」と、それでも頑張った痕跡が見えます。CDのセカンド・プレスからは、帯が付き普通のビクターのCDっぽくなりました。
ちなみに、ジャケットのデザインはTYCOON GRAPHICSが担当しています(公式インタビューではCDのジャケットを手がけたのはこの後94年頃の作品と語られているようですが…)。
のっけから、八木グランドオーケストラによる「Dear John」のイントロのループに突き刺さるビート、桑田さんのライブの定番「スタンド、アリーナ、カーモーン」の叫び、そして始まる「勝手にシンドバッド」…と、最初からなかなか凝った作りです。マルチ・マスターからのミックスで、単純にドラム・ベース等を差し替えて繋ぐだけでなく、例えば「勝手にシンドバッド」で「そんなヒロシに騙されて」のギターや「My Foreplay Music」のピアノが登場したり、「マチルダBABY」のシンベに「ボディ・スペシャルII」、同じく「マチルダBABY」のサックスに乗せて「私はピアノ」のヴォーカルが展開されたりと、マッシュアップが93年の歌謡界で堂々と繰り広げられておりました。17分に渡って、最新曲「エロティカ・セブン」を含むサザンのヒット曲・人気曲が次から次へと登場します。
また、当作品のリリースは手順も凝っていました。まずはラジオOAを行い、8月に12インチのみを先行で1万枚限定リリース。即日完売という煽り方で、「急遽9月にCD・カセットのレギュラー・リリースが決定!」という、珍しく手の込んだ演出でした。12インチはビクターのクレジットがジャケット上記載が無く(規格番号でわかるんですけど)、盤レーベル上に「MANUFACTURED BY VICTOR ENTERTAINMENT INC., TOKYO, JAPAN」があるのみでした。CD・カセットのジャケットは「MANUFACTURED BY V. E. INC., TOKYO, JAPAN」と、それでも頑張った痕跡が見えます。CDのセカンド・プレスからは、帯が付き普通のビクターのCDっぽくなりました。
ちなみに、ジャケットのデザインはTYCOON GRAPHICSが担当しています(公式インタビューではCDのジャケットを手がけたのはこの後94年頃の作品と語られているようですが…)。