2015年1月28日水曜日

大滝詠一『Best Always』


大滝詠一さんの“初のオール・タイム・ベスト・アルバム”、『Best Always』がリリースされました。

思えば2013年の大晦日、NHKニュースで高瀬アナ(私が見たのは13時のでしたので)から読み上げられたニュースの衝撃と言ったら…突然の訃報とはまさにこのことで、テレビを前にしばし呆然としてしまいました。あれからもう一年以上経ったのですね。

曲目を通して見ると、もちろん(メロディー・タイプの)代表曲のオンパレードなのですが、大瀧さんと、大瀧さんのお子さん達との愛情がどことなく見え隠れする、そんな選曲だなあという印象を受けました。「青空のように」7inchのジャケとか、粗いけどすごくいい写真ですよね。

アルバムそのものに充実したライナーがついてますので、単なるファンの私が語ることなどありゃしないのですが、今のところ入手可能な商品に収録されていない、珍しいバージョンについてしたためて見たいと思います(こういうのやってみたかったんです)。


1-1「ナイアガラ・ムーン」は2005年の映画「イン・ザ・プール」用に作られたドラムレスのミックスが収録されています。「イン・ザ・プール」の音楽を担当されたのは現ナイアガラ・エンタープライズ社長であらせられる長田治さんでしたが、大瀧さんの娘婿さんなんだそうですね。ミキシング・エンジニアは笛吹銅次でしょうか(今回は残された資料が少ないことから、ミュージシャンやエンジニアのクレジットは載せないという方針になったそうですが、この際Unknownだらけでもいいから載せてくれたら良かったのに!と思ってます)。

1-9「幸せにさよなら」は新春放談でかかったことのあるバージョンとのことで、3人の歌う順番がオリジナル・シングル・バージョンと違うステレオ・リミックス・バージョン。山下達郎さんがおっしゃってましたが、シングル用にキーボードとベースは上書きで録り直されたとのことで、坂本教授と吉田健さんの演奏はマルチに残ってないんですね。もったいない…。しかし1回しか歌わせてもらえなかった達郎さんと、後から歌い込んだという大滝さんの歌の落差が凄いです。ライナーによると新たにミックスされたみたいですが、どなたが担当されたのでしょう?

1-11「Cider '77」83年のCDNiagara CM Special Special Issue』と08年のオムニバス『伊藤アキラ CM WORKS ON・アソシエイツ・イヤーズに入っていたヴォーカル入りの60秒バージョンです。なぜか77年のオリジナル盤を始め、他のCMスペシャルでは全部歌無しのカラオケが収録されていました。個人的にこの曲はCMスペシャル30周年盤のOldtype Stereo Mixが一番好きです(テレビでのOAミックスと同じく、ドラムが鳴り響いてるのがたまりません)。

1-13「青空のように」は笛吹銅次によるオリジナル・シングル・ミックスです。(『Niagara Calendar '78』用ミックスは実験的だったので置いといて、)81年の笛吹銅次ミックスや86年の吉田保さんミックスとは違った味わいがあって、待望のCD化です、これは(この勢いでプロモ盤のモノ・ミックスとそのカラオケを…なんて野暮なことをついつい考えてしまいます)。

1-15「ブルー・ヴァレンタイン・デイ」も初CD化のシングル・ミックスですがあんまりオリジナル・アルバム・ミックスと変わらないんですよね。福生45スタジオでの、シンプルでインディーな生々しいミックスです。

1-17「烏賊酢是!此乃鯉」87年の『Niagara Black Book』用(『Let’s Ondo Again Special』ということでしょうか)に作られた未発表ミックスとのことです。大瀧さんのもう一つの顔であるノヴェルティ・タイプの曲はどうしても今回は少なくなってしまいがちですが、1-141516ときて唐突によりによってこれが登場するのでついつい苦笑してしまいます(褒め言葉です)。

1-18「夢で逢えたら」が今回の目玉音源なんですかね、エコー控えめなシリア・ポール・バージョンのオケで、オクターブ下で歌う大滝さんバージョン。歌は80年代に録られたようですが、セリフ(どうも大滝さんの照れた話し方からか、悪戯っ子っぽい印象を受けて聞くたびニヤニヤしてしまうんですよね、褒め言葉ですよ)を聴くと、こういうことを見越して遺しておいたのかなあなんて思ってしまいます。どうも葬儀ではオリジナルの吉田美奈子バージョンのオケが使われた録音が流れたそうですが、そっちを(も)入れてほしかった…どこがNG出したのかなあ…なんて余計なことを考えてしまいました。

2-1「君は天然色」のシングル・エディット、2-3「A面で恋をして」のシングル・ミックスはソニーの発表では“初CD化”とありましたが、それこそソニーさんが出してたJ-POPのコンピレーションものには収録されていたかと思います。2-2「恋するカレン」のイントロが大きいシングル・バージョンや2-4「さらばシベリア鉄道」のシングル・ミックスは初CD化ですかね。

2-8「CM Special Vol.2」のこのバージョンも久々の登場です。プロモ盤と前述の『Niagara CM Special Special Issue』に入っていたミックスで、個人的にはこっちのバージョンの方が好みです。

2-9「Cider '83」はオリジナル・バージョンの後に、プロモ盤『Cider Special』収録のTracks Only feat. Stringsってやつを繋げているんでしょうか(持ってないのでわかりません)?初回盤Disc3のカラオケよりストリングスが大きめです。

2-16「恋するふたり」はソニーの発表では何も書かれていませんが、初出しバージョンですね。最後がオリジナル・シングル・バージョンのように編集されておらず、しかし07年の7インチ・バージョンとも違いフェイドアウトします。大瀧さん健在時も、手違いなのかわざとなのかわからない感じで別のバージョンが入っていることが何度かありましたが、またまたいただきました。
2-1415も何も書かれてませんが、ぱっと聴いた感じではこの2曲はオリジナル・シングル・バージョンと一緒です。たぶん。