2015年4月18日土曜日

The Real Thing「You To Me Are Everything」「Can’t Get By Without You」[Ken Gold Songbook]


Ken Goldの、作家としても、そしてプロデューサーとしても初の大ヒット曲で、UKシングルチャート1位、USでも64位(R&Bチャート28位)まで上昇したのが1976年5月リリースのThe Real ThingYou To Me Are Everything」です。

The Real Thingはリバプール出身の4人組ヴォーカル・グループで、中心人物のEddie Amooはキャバーン・クラブ時代のBeatlesとも共演していたヴォーカルグループ、The Chantsを率いており、Real Thing結成時点で既にそれなりにキャリアがあったようです。また、グループを命名したのはマネージャーのTony Hallです。このTony Hallは50年代からDeccaのA&Rとして活躍し、60年代後半から独立しマネジメント業を営んでいました。Jimi Hendrixら黒人ミュージシャンのUKでのプロモーションを行っていたということです。

ちょうどReal ThingがPyeと契約し、ヒットを求められていたタイミングでTony HallにKen GoldとMicky Denneがコンタクトしてきたようです。Real Thingの公式サイトによれば、出版社が売り込んでくれなくてフラストレーションが溜まっていたGoldが持ち込んできたのが「You To Me Are Everything」で、ピンときたTony HallがすぐにGoldをプロデューサーにも起用し、録音されたということです。Goldは元Affinityのキーボード・プレイヤー、Lynton Naiffをストリングス・アレンジャーに起用。これ以降、Goldのプロデュース作品のストリングス、キーボードに欠かせない存在になります。

「You To Me Are Everything」は、Real ThingのメンバーEddie Amooが「Barry White風」と語っていますが、正にBarry White、それにJohnny Bristolの影響を感じる、流麗なストリングスをフィーチャーした爽やかなサウンドに切ないメロディで、確かにアメリカ以上にイギリスで受けそうな感じではあります。とはいえアメリカでも速攻でカバーされており、イギリスの翌月にアメリカでリリースされたのと同月、何とFrankie ValliバージョンがシングルのB面としてBob Gaudioプロデュースでリリースされています。それ以外にもBroadway、Revelationなどにカバーされ、同時にヒットしている人気の高い曲です。


「You To Me Are Everything」がヒットしたことで、同じ路線の第二弾を、ということでReal ThingはGold-Denneコンビ作の「Can't Get By Without You」を録音、同年8月にリリースします。
「Can't Get By Without You」はさらにBarry Whiteサウンドの影響がわかり易く出ており、日本盤シングルがリリースされた際、テイチクは「愛のテーマ77」となかなか身も蓋もない邦題をつけておりましたが、こちらも名曲ですね。UKチャートでは2位を記録しています。


この後Real Thingは2曲のヒットの勢いに乗ってファーストLP『Real Thing』をリリースします。Gold-Denneコンビ作・Goldプロデュースは先のシングル2曲のみで、あとはReal Thing側の意向でChris & Eddie Amoo兄弟作/アレンジ、Jerome Rimsonプロデュースとなりました(2019/12追記:実は76年8月にGold-Denne楽曲「Someone Oughta Write A Song」を録音したものの、お蔵入りになった経緯があるようです)。


この後、Real ThingはAmoo兄弟作ですがGold-Denne路線の「Love's Such A Wonderful Thing」「Lovin' You Is Like A Dream」等も収録したセルフ・プロデュース作『4 from 8』を経て、再度Ken Goldとタッグを組むこととなります。




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