2021年12月4日土曜日

The Real Thing『The Anthology 1972-1997』(2021)

英Cherry Red Recordsから"Legendary British Band"、Real Thingのアンソロジー・ボックス『The Anthology 1972-1997』がこの夏リリースされていました(気づきませんでしたので慌てて入手しました)。

EMI、Pye、Caribre、RCA、Jive、そしてCaribreとRCAの間でポツンと伊Catawbaから出た楽曲、PyeがPRTになってからのリミックス音源、各シングル・アルバムバージョンなども網羅した、CD7枚組109トラックの素晴らしいほぼほぼコンプリート・ボックスです。ほぼほぼというのはEMIとの契約前に出ているBell盤(こっちがオリジナル・レコーディング)の「Vicious Circle」pt1/2、82年にEMIからポツンと出たシングル「Seen To Smile」/「Look Up (To The Sky)」などが入っていないからです。昨年出たリアルタイムでの未発表録音「Someone Oughta Write A Song」も入らなかったようですが、さすがに去年のベスト盤の価値を残しておくには入れられなかったというところでしょうか。あと、Disc3の「Never Be Alone」ってトラック、Disc1「A Love That's Real」がそのまま入ってるんですけど「Never Be Alone」って曲は知らないので、どうにか間違っちゃったのでしょうか?

ライナーはEddie PillerによるReal Thingへの愛情あふれた詳細な内容です。惜しむらくは内容がグループの成り立ちから、ニューソウル的なコンセプトが濃厚な77年の名作2nd LP『4 from 8』までの記載になっていることでしょうか。せっかくのコンプリート・ボックスなので、Eddie Pillerに通史で書いてほしかったところですが…とはいえ『4 from 8』までの濃厚な文章は楽しく読めます。そして我らがKen Goldもコメントで登場します。やはり「You To Me Are Everything」絡みのコメントですが、この曲はMicky Denneと共作を始めて10作目だったそうで、しかしDenneはいつもコンビの最高傑作だと言っている、たぶんそうだろうね!とのこと。また、Chris Amooのコメントによるとこの曲、実はとある「established pop-star」に書いたものの、ボツになってTony Hallのところに持ち込まれたいうのが面白いです。「established pop-star」、時期的にはCliff Richardでしょうか?

おなじみPye期の音源はこれまでもCD化されていましたが、RCAやJive期の作品がCDで聴けるようになったのは嬉しいですね。Jiveに移ってJohn Astropと組んでシンセバリバリのサウンドでメロウに攻める80年代中〜後半のReal Thingもイイです。Four Topsをハイエナジーでカバーした「I Can't Help Myself (Sugar Pie Honey Bunch)」なんかも試行錯誤の一環かもしれないですが、楽しいです。

これまたこれまで未CD化だったと思いますが、なぜか伊Catawbaから83年に単発で出た「Street Corner Boogie」なんかはNigel Martinezプロデュース・Lynton Naiffブラスアレンジの最高なブギーです。Billy Ocean「Nights」なんかお好きな方は気にいると思います。(その一つ前のメロウな「Seen To Smile」もNigel Martinezプロデュース、Lynton Naiff & Martinezアレンジというイイ組合せなのですが、今回は漏れてしまい…残念)

作品の性質上?サブスクでは扱わないようですので、ブリティッシュ・ソウル好きの皆さま、ぜひぜひ一家に一箱。保存盤です。

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