76年の「You To Me Are Everything」「Can't Get By Without You」のヒットの後、77年のセルフ・プロデュース作『4 from 8』を経て、再度Real Thing側からKen Goldに声がかかったようです。まずは76年同様にシングルのA面のみの担当でしたが、78年1月にリリースされたのがGold-Denneコンビ作・Gold プロデュースによる「Whenever You Want My Love」です。おそらくは、“「You To Me Are Everything」「Can't Get By Without You」みたいなのお願いします!”という感じでのオファーだったかと思われる、同路線の爽快感溢れるポップな1曲になりました。チャート18位のスマッシュ・ヒットとなります。
このシングルのヒットを受けてかその後、78年は全編Goldプロデュースでアルバムを1枚作ることになったようです。おそらく78年後半、『Step Into Our World』のタイトルでリリースされました。
A-1 Whatcha Say, Whatcha Do [*C. Amoo-E. Amoo]
A-2 Lady, I Love You All The Time
A-3 Rainin' Through My Sunshine [*C. Amoo-E. Amoo]
A-4 Can You Feel The Force? [*C. Amoo-E. Amoo]
A-5 Give Me The Chance
B-1 (We Gotta Take It To The) Second Stage [*C. Amoo-E. Amoo]
B-2 Won't You Step Into My World? [*C. Amoo-E. Amoo]
B-3 Whenever You Want My Love
B-4 You Gotta Keep Holding On [*C. Amoo-E. Amoo]
B-5 Love Me Right
1作まるまるGold プロデュースとはいうものの、DelegationのようにGold-Denneコンビ作が多数を占めるわけではなく、10曲中4曲と控えめと言えば控えめです。おそらくこれはセルフ・プロデュース志向が強いAmoo兄弟の意向を受けてのことではないかと想像します。とはいうものの、ここでのAmoo兄弟の楽曲はどれもポップでメロウな、非常にGold-Denneコンビを意識した雰囲気ですが…。とはいうもののGoldの洗練された感覚と、根底に流れるReal Thingの泥臭いファンクネスのバランスが本作では絶妙だと思います。「Lady, I Love You All The Time」「Love Me Right」「Give Me The Chance」のGold-Denneコンビ作品は安定したクオリティで、79年のDelegationなどにも繋がる流れです。
また、(当連載的にはズレますが)セッションの2ndシングルとして出たのがAmoo兄弟作の「Rainin' Through My Sunshine」です。日本でも一部では有名なこの曲、プロデューサーのGoldとAmoo兄弟の役割分担はよくわかりませんが、リズムパターン(Goldは77年Realistics「Someone Oughta Write A Song About You Baby」でもやってました)やタイトルをヴォーカルとコーラスで別に連呼するところなど、おそらく78年初頭に全米30位まで上昇したBill Withers「Lovely Day」へのGold・Amoo兄弟からの返答かと思います。歌詞も陽気なアメリカン・ソウルに対しての陰りのあるブリティッシュ・ソウルという感じがして、綺麗な対比になっているのが面白いですね。これはUKチャート40位という結果でした。
そしてAmoo兄弟作のアッパーでスペイシーな(映画「Star Wars」にインスパイアされたそうです)「Can You Feel The Force?」が79年2月に3rdシングルとしてシングル・カットされるとUKチャート5位まで上昇します。このヒットを受け、本作は『Can You Feel The Force?』と改題され、「Can You Feel The Force?」をニュー・ミックスのロング・バージョンに差し替えての再リリースが行われました(シングル・LPともにイエローのカラー・レコードでのリリースもありました)。そしてこのヒットを最後に、Real ThingはGoldの元を離れることとなります。
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