Ken Goldの作品を綴っていくシリーズ、今回は「It Only Happens(When I Look At You)」です。同じくイギリス出身のMicky Denneとの共作で、これ以降何年にも渡ってコンビで作曲が続く、最初期の作品と思われます。
初出が誰のバージョンかはっきりしませんが、Aretha Frankrinの75年10月リリース『You』に収録(録音は6月〜9月)され、76年リリースのJackie Wilson『Nobody But You』(録音は75年6月〜9月)で前述の「You’re The Song」と共に取り上げられています。さらに75年にアメリカ録音であるにもかかわらずヨーロッパのみのリリースとなっていた謎のヴォーカル・グループLove Machine(78年には日本ビクター企画で本田 ”Hustle” 慧さんプロデュース・船山基紀さんアレンジでの録音もしている、LAのミスコンから選ばれたという不思議なグループです)に「You’re The Song」と共にLP『Love Machine』で取り上げられていますので、これは誰かに書き下ろしたというよりは、楽曲を出版社(Screen Gems Columbia)が売りに出したところ、ほぼ同時に大物含めて取り上げられたということなのでしょうか?(ただし、ArethaとLove Machineのバージョンには後述の通りどちらもGene Pageが関わっていそうですが…?)
Jackie Wilson(アレンジはDavid Van De Pitte、プロデュースはCarl Davis & Sonny Sanders)とLove Machine(LPにアレンジやプロデュースのクレジットがありませんが、同LPからのカットされた別の曲のシングルは両面ともGene Pageプロデュースの記載があります)のバージョンを聴くと両者は解釈が近い一方、ArethaのバージョンはBPMを落とし、西海岸の風を感じる爽やかで洗練された雰囲気の演奏と暑苦しいArethaのパフォーマンスを堪能できるテイクです。アレンジはGene Page、プロデュースはArethaとJerry Wexlerによるものです。Aretha『You』は一度も公式にはCD化されておらず(数年前に話があったものの流れてしまったようです)、何とか公式な商品化をUniversalにはお願いしたいところであります(94年の英Expansionのコンピ『Soul Chasers - Volume 2』で「It Only Happens」のみCD化されています。板起こしではありますが…)。『Nobody But You』は数回CDでリリースされており、iTunesでも当記事作成時点では発売中ですが、『Love Machine』は全く再発の兆しがありません。
なお、Micky DenneとGoldのデュオ作品『Denne And Gold』ライナーにはEugene Recordにも取り上げられたとの記載がありますが、これは前述の「Puttin’ It Down」と混同していると思われます。
さらに76年7月,Goldが長年にわたってプロデュースを務めることになるヴォーカル・グループRumoursのファースト・シングル「The Promise Of Love」のB面にも「It Only Happens」が収録されています。このバージョンも上記のうちではJackie WilsonやLove Machineの解釈の延長といったところで、演奏もどちらかというと軽め、というかヴォーカル・グループなのにリードヴォーカルしか入っておらず、デモっぽい印象を受けます。このシングルは8月のセカンド・プレス以降、Rumoursの表記がDelegationに変更されることになります。
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