米国のソウル・シンガー達に作品が取り上げられ、Real ThingやDelegationで英国でもヒットを飛ばし始めた作家コンビMicky DenneとKen Goldは、77年暮れから彼等名義のアルバム制作に入ります。77年9月にシングル「Midnight Creeper」c/w「You've Got To Give Me All Your Lovin'」がリリースされ、翌年シングル「Let's Put Our Love Back Together」c/w「Don't Go Away (And Take Your Love Out Of Town)」とLP『Denne And Gold』がリリースされました。ただし、調べてもシングルはUK、LPはUSでしかリリースされた形跡がありません(CDは日本だけですね…)。
Real ThingやDelegation、RealisticsでもおなじみのLynton Naiffがキーボード(シングルではアレンジャーとしてクレジット)を担当しており、Gold・Denneと共にサウンド作りの要となっているのが伺えます。LPにプロデュースのクレジットは無く、エグゼクティブ・プロデューサーにGeorge Leeという方がクレジットされておりますが、この方の経歴はわかりません(77年同じくMCAからリリースされたB. J. ThomasによるBeach Boysのカバー「Don't Worry Baby」シングルでもエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされているようですが、それ以外あまり情報がありません)。ただし、2枚のシングルにはKen Goldプロデュースのクレジットがあります。
A-1 Let's Put Our Love Back Together
A-2 It Hurts To Watch A Good Thing Die
A-3 Midnite Creeper
A-4 Don't Go Away (And Take Your Love Out Of Town)
A-5 You've Got To Give Me All Your Lovin'
B-1 We've Got It Jumpin' Now
B-2 I Can't Ask For Anymore Than You
B-3 Why Do We Hurt Each Other [*Denne]
B-4 Uncertain
B-5 If I Could Just Be With You Tonight
Delegation『The Promise Of Love』に近い、フィリーの影響が感じられ、もちろんシカゴ・ソウルの影響もありますが、全体としてはどこか垢抜けないスワンプ風味が散りばめられている、軽めで清涼感が漂うブルー・アイド・ソウル作品に仕上がっています(金澤寿和さんも日本盤ライナーで書かれていますが、Hall & Oatesのアトランティック時代のような雰囲気もあります)。特にその後の洗練されたGoldプロデュース作品群と比べるとちょっと泥臭く、別の味わいがあると思います。
何と言ってもシングル・カットされた1曲目フィリー風ミディアム「Let's Put Our Love Back Together」からメロウで素晴らしいです。歌い出しのヴァースはMicky Denne、「I may be〜」のヴァースはKen Goldがリードを取っているようです。「Let's Put Our Love Back Together」のシングルB面に収録された「Don't Go Away (And Take Your Love Out Of Town)」もフィリー風味のスローで、非常に味わい深い出来です。
また、当シリーズ的にはちょっとズレますが、唯一Micky Denneの単独作である「Why Do We Hurt Each Other」はファルセット多用のシカゴもので、とてもいい出来だと思います。「It Hurts To Watch A Good Thing Die」もいかにもなAOR調のメロウな仕上がりです。「We've Got It Jumpin' Now」は(これも金澤さんが日本盤ライナーで書かれていますが)UK大御所の80年シングル曲と同じ方向を向いています。「I Can't Ask For Anymore Than You」「You've Got To Give Me All Your Lovin'」は76年のCliff Richardへの提供曲、「Uncertain」は77年Jimmy Helmsへの提供曲のそれぞれセルフカバーです。
(2020/3追記)
シングル曲「Midnight Creeper」「Let's Put Our Love Back Together」、またLPの「If I Could Just Be With You Tonight」の3曲は1976年にDenny McCaffreyがレコーディングしたものの、未発表となった楽曲のセルフカバーだったようです。
tuesday breakheart: Denny McCaffrey「Midnight Creeper」「Goodbye For The Last Time」「Take Good Care Of Yourself」「Times」and others [Ken Gold Songbook]
シングル曲「Midnight Creeper」「Let's Put Our Love Back Together」、またLPの「If I Could Just Be With You Tonight」の3曲は1976年にDenny McCaffreyがレコーディングしたものの、未発表となった楽曲のセルフカバーだったようです。
tuesday breakheart: Denny McCaffrey「Midnight Creeper」「Goodbye For The Last Time」「Take Good Care Of Yourself」「Times」and others [Ken Gold Songbook]
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